来週火曜日、6月12日にシンガポールでキム・ジョンウン朝鮮労働党委員長とアメリカのトランプ大統領とで首脳会談が行われる。

北朝鮮の首脳が陸路ならいざ知らず、空路で親交国でもないシンガポールに出かけて会議を行うということは歴史上かつてなかったことである。歴代の北朝鮮首脳が外国を訪問した例としては隣国の親交国、中国への汽車での訪問か、軍事境界線を越えての徒歩での韓国への訪問に限られていた。　理由は国を遠く離れた場合の北朝鮮首脳自身の警護上の問題とそれ以外に、首脳が不在となった場合の北朝鮮でのクーデターのリスクを考慮していたからだと想像される。...

北朝鮮の首脳が陸路ならいざ知らず、空路で親交国でもないシンガポールに出かけて会議を行うということは歴史上かつてなかったことである。歴代の北朝鮮首脳が外国を訪問した例としては隣国の親交国、中国への汽車での訪問か、軍事境界線を越えての徒歩での韓国への訪問に限られていた。　理由は国を遠く離れた場合の北朝鮮首脳自身の警護上の問題とそれ以外に、首脳が不在となった場合の北朝鮮でのクーデターのリスクを考慮していたからだと想像される。　従って、今回のシンガポール訪問は北朝鮮側にとっては大きなギャンブルを打ったに等しいと解釈できる。

それでは、北朝鮮側はどれほどの収穫を期待しているのか？

第１に朝鮮戦争後、金日成、金正日と今のキム・ジョンウンと世襲されてきた金一族による独裁体制の北朝鮮を国としてアメリカに認めさせること、

第２に核兵器開発で疲弊した経済を立て直すため、核兵器撤廃の見返りに経済援助を差しのべてもらうこと

今回の会議で北朝鮮側は、これまでのアメリカ大統領と異なる型破りなトランプ大統領に期待をかけ、大きなギャンブルに出たものと解釈できる。会議の結果、上記の2点に対する明確かつ迅速な外交成果を得ることを期待している。

すでにこれまでの両国の高官間の前交渉で北朝鮮の意向は首脳間の会議で大筋は合意されるとのことである。しかし問題は北朝鮮側に核兵器放棄を含めたアメリカ側の具体的な要求をどこまで通させることができるかにかかっている。 今後のシンガポールでの両首脳会談の成り行きに着目していきたい。