米国防総省は、連邦議会に命じられた調査で、内部調査の結果、アフガニスタン、イラク、シリア、イエメンへの攻撃による民間人犠牲者は500人弱だと述べた。民間人負傷者数は169人と伝えられた。
しかし、監視団体や法律専門家は、犠牲者の数は実際はさらに多いとみている。調査や集計方法が不完全なため、国防総省は空爆やその他軍事活動で殺害された民間人の数を大幅に少なく見積もっている可能性があると述べた。...
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米国防総省は、連邦議会に命じられた調査で、内部調査の結果、アフガニスタン、イラク、シリア、イエメンへの攻撃による民間人犠牲者は500人弱だと述べた。民間人負傷者数は169人と伝えられた。
しかし、監視団体や法律専門家は、犠牲者の数は実際はさらに多いとみている。調査や集計方法が不完全なため、国防総省は空爆やその他軍事活動で殺害された民間人の数を大幅に少なく見積もっている可能性があると述べた。
米国アムネスティ・インターナショナルの関係者であるダフネ・エヴィアタ氏は、「国防総省は、民間犠牲者の大多数について、調査できていない分は信憑性がないと考えている。よってその数字は実際の民間死者数を大幅に下回る可能性が高い。」と述べた。
ソーシャルメディアなどの情報を使って犠牲者を追跡調査しているエアウォーズ(Airwars)は、今年初め、2017年にイラクとシリアだけで6,000人の民間人が米国及びその同盟国によって殺害された可能性があると報じた。この数字は前年の200%増にあたる。
国防総省は、民間人を保護するための戦争に関する協定を順守していたと述べた。防衛当局は、空爆の前に標的地を偵察し、爆風地帯を計算するなど徹底した調査を行っていることを挙げ、非戦闘員を誤って攻撃しないよう注意を払っているという立場を擁護してきた。ジム・マティス国防長官をはじめとする軍事指導者は、米軍の軍事行動は非常に正確だと評価している。
しかし米軍への被害を減らすために、航空機や現地パートナー軍を活用し、戦闘が遠隔から指揮されるようになり、攻撃の正確性を維持することが難しくなってきている。遠方からの攻撃は、武装勢力と民間居住地が近接していることなどを見落とすことが多い。
この報告書の対象期間には、イラクのモスル市及びシリアのラッカ市においてイスラム国を追放するための空爆が含まれていたが、両方とも人が密集する都市部であった。米国防総省は、2017年にイスラム国に対し1万回以上の攻撃を実施したと述べている。
その他、アフガニスタンではタリバンを標的とし、米軍はアフガニスタン軍に航空支援を行った。イエメンでもテロ対策キャンペーンを継続し、2017年1月の猛烈な襲撃によりイエメンの村人数十人が死亡したという。
監視団体は、長い間、国防総省の集計方法を信用できないとし、証人や生存者への聞き取り調査を実施していないことを批判している。見舞い金の支払いを行っていないことについても非難している。
国防総省は死者数の相違を認めているものの、「運営計画や情報筋など」民間調査が利用できない特定の情報を分析に組み込んでいると述べた。
ニューヨーク大学法科大学院の教授で元国防総省関係者のライアン・グッドマン教授は、最近執筆した論説記事で、調査を開始するためには実際に死亡した実在する証拠が必要とする軍の統計のとり方に欠陥があると主張している。
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