先週、アイルランドで人口妊娠中絶合法化の是非を問う国民投票が行われ、賛成多数(支持票66.4%)の結果となり、今後法改正へと向かう。英国ではこの結果を受け、北アイルランドの中絶禁止改革への動きが活発化するとみられている。
5月27日付
『ロイター通信』は「アイルランドで中絶を巡る国民投票により静かな革命」との見出しで以下のように報道している。
中絶が禁止されている厳格なカトリックの国アイルランドで金曜国民投票が行われ、中絶賛成票が大多数の結果となった。これまで同国では、年間3千人の女性が中絶目的で英国に渡航しており、今では国内では違法なピルが出回っている現実があった。日曜には多くの人が中絶合法化運動の契機となったインド人女性(2012年中絶を拒否され感染症で亡くなった)の追悼に訪れた。...
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5月27日付
『ロイター通信』は「アイルランドで中絶を巡る国民投票により静かな革命」との見出しで以下のように報道している。
中絶が禁止されている厳格なカトリックの国アイルランドで金曜国民投票が行われ、中絶賛成票が大多数の結果となった。これまで同国では、年間3千人の女性が中絶目的で英国に渡航しており、今では国内では違法なピルが出回っている現実があった。日曜には多くの人が中絶合法化運動の契機となったインド人女性(2012年中絶を拒否され感染症で亡くなった)の追悼に訪れた。禁止法撤廃を指揮したレオ・バラッカー首相が次週から今年末までに妊娠12週未満までは制限なく中絶を認める法律原案を作成する。
アイルランドでは、1995年に離婚が合法化、2015年には同性婚が合法化された。
世界の一面記事を飾ったこの国民投票に、フランスのマクロン大統領は、ツイッターで「女性の自由の象徴となる歴史的革命。」とした。
一方、英国のメイ首相は、英国保守政権内で北アイルランドの中絶禁止法改正への圧力が高まると懸念。アイルランドのカトリック教会は投票結果は教えを無視するものだとし遺憾を示している。アイルランドでは80年代教会の児童への性的虐待が問題となり、教会の影響力は弱体化した。教会側は今後も改めて人命尊重を提唱していくとしている。一方、別のカトリック教国ポーランドでは今だに中絶はほぼ禁止である。
同日付英国『Independent』は「北アイルランドの中絶禁止法改正により英国政府内対立に懸念」との見出しで以下のように報道している。
アイルランドでの中絶憲法廃止(中絶禁止法改正へ66.4%が賛成)で、英国では北アイルランドでの中絶禁止改革への動きが活発化するとみられている。多くの保守議員は同件での投票を求めるとみられるが、メイ首相と北アイルランドの民主統一党(DUP)は中絶禁止の改正に強く反対しており、メイ首相は厳しい状況に立たされる。
政府筋によると、メイ首相は北アイルランドに決定をゆだねるとしてこの要求に抵抗すると見られている。
だが、改革への声が高まるにつれ130人以上の議員は投票に賛成するとみられている。ジャスティン・グリーン元教育国務長官は、「今こそ議論と行動すべき時」としている。一方、ロリー・スチュワート司法大臣は、これに反対し、英国政府が北アイルランドの自治に口をはさむのは危険」等としている。北アイルランドでは、母体の生命の危険や精神上健康が理由の場合にのみ中絶を許可している。
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