マレーシアでは、今月初めの下院総選挙で、政権与党を破って首相に返り咲いたマハティール・ビン・モハマド氏(92歳)が、これまでのナジブ・ラザク前首相(64歳)の中国寄り政策を見直す考えを明らかにしている。その一環で同首相は、習近平(シー・チンピン)政権が推す“一帯一路経済圏構想(OBOR)”下の同国東岸の大鉄道建設プロジェクトを縮小すると宣言した。一方、中国は、国民の過半数が貧困層のパプアニューギニア等途上国を、経済支援を最大限の武器にして、OBORへの取り込みを着々と進めている。
5月26日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』配信):「マレーシア、OBOR下の鉄道建設プロジェクト見直しを宣言」
マハティール・モハマド新首相は5月26日、マレーシアの対外債務を500億ドル(約5兆4,500億円)減らすため、中国企業との140億ドル(約1兆5,260億円)の鉄道建設プロジェクトの見直し交渉を行うと発表した。
同プロジェクトは、習近平国家主席が推すOBOR下の東海岸環状鉄道(ECRL)建設計画で、ナジブ・ラザク前首相が中国寄り政策の一環で推進したものである。...
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5月26日付米
『Yahooニュース』(
『ロイター通信』配信):「マレーシア、OBOR下の鉄道建設プロジェクト見直しを宣言」
マハティール・モハマド新首相は5月26日、マレーシアの対外債務を500億ドル(約5兆4,500億円)減らすため、中国企業との140億ドル(約1兆5,260億円)の鉄道建設プロジェクトの見直し交渉を行うと発表した。
同プロジェクトは、習近平国家主席が推すOBOR下の東海岸環状鉄道(ECRL)建設計画で、ナジブ・ラザク前首相が中国寄り政策の一環で推進したものである。ECRLは、タイ南東端の南シナ海側(コタバル)~マレーシア南西岸(クラン港)のマラッカ海峡まで伸びる総距離688キロメーター(430マイル)の、同国最大の鉄道建設プロジェクトで、総工費は550億リンギット(138億2,000万ドル)である。
同プロジェクトは、中国国営企業の中国交通建設が建設を請け負い、主として中国輸出入銀行の融資で賄われることになっていた。
同首相は、同国の国内総生産(GDP)の80%にも上る、約1兆リンギット(2,513億2,000億ドル、約27兆3,940億円)の対外債務を2,000億リンギット(502億6,000万ドル)減らすため、かかる大プロジェクトの縮小見直しが必須だとしている。
同首相は更に、シンガポールと進める、シンガポール~クアラルンプール間高速鉄道建設プロジェクト(HSR)についても、見直し交渉を進めたいとしている。
なお、HSRの総工費は170億ドル(約1兆8,530億円)と見積もられ、2026年完工を目指し、入札の準備が進められていた。
一方、5月27日付中国『新華社通信』:「中国大使-パプアニューギニアのOBORへの積極的参画表明は、国際社会及び地域の相互協力にとって非常に望ましいことと発言」
在パプアニューギニアの薛平(シュー・ピン)中国大使は5月27日、パプアニューギニアのOBOR構想への積極的参加表明は、国際社会のみならず南太平洋地域における相互協力にとって非常に望ましいことだとコメントした。
パプアニューギニアの首都ポートモレスビーで開かれている、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の貿易担当相会合に出席していた同大使は、南太平洋地域島嶼国の中で最大の人口を擁する同国が、中国からの経済支援を後ろ盾にして、OBOR構想下の経済・社会インフラ建設を積極的に進めていくと表明したと言及した。
同大使によると、パプアニューギニアは、鉱物資源、森林、農業及び水産資源が豊富な国で、既に多くの中国企業が同国への投資や開発事業のために進出してきているとも付言した。
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