ドナルド・トランプ大統領が、金正恩(キム・ジョンウン)委員長との首脳会談を突然キャンセルした。北朝鮮側の挑発的な発言・行動にしっぺ返しをしようとした模様であるが、穿った見方をすれば、“自分第一主義”の同大統領にとって、習近平(シー・チンピン)国家主席が裏で米朝会談を仕切っているふうに映ったことに我慢ができなかったものとみられる。これで、安倍晋三首相が直談判した、日本人拉致被害者解放問題がまた棚上げされる恐れとなった。一方、北朝鮮側は、依然米国首脳との直接対話を望んでいると表明している。ただ、同委員長の命令に従っただけだと思われるものの、トランプ大統領を結果的に怒らせる原因を作った二人の北朝鮮外務次官が、同委員長の面子を守るために、粛清されないことを切に望む。
5月25日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「トランプ大統領が米朝首脳会談をキャンセル、しかし北朝鮮は依然米国首脳との直接対話を渇望」
北朝鮮国営メディアの『朝鮮中央通信』は5月25日、北朝鮮外交部(省に相当)の金桂冠(キム・ケガン)第1外務次官の声明を掲載し、北朝鮮がドナルド・トランプ大統領による突然の首脳会談キャンセルに驚愕しているとしながらも、依然米朝首脳会談が設定できるよう米国側の再考を切望していると報じた。...
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5月25日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「トランプ大統領が米朝首脳会談をキャンセル、しかし北朝鮮は依然米国首脳との直接対話を渇望」
北朝鮮国営メディアの『朝鮮中央通信』は5月25日、北朝鮮外交部(省に相当)の金桂冠(キム・ケガン)第1外務次官の声明を掲載し、北朝鮮がドナルド・トランプ大統領による突然の首脳会談キャンセルに驚愕しているとしながらも、依然米朝首脳会談が設定できるよう米国側の再考を切望していると報じた。
トランプ大統領は5月24日の声明で、北朝鮮側の挑発的な発言・対応等を理由として、米朝首脳会談を中止することを決めたと述べた。その際、同大統領は、ジム・マティス国防長官はもとより、日韓首脳とも協議した上での決断だとした。
同大統領はまた、北朝鮮が無用な挑発行為に出るようなら、米軍は“いつでも対応可能”とし、更に、日韓とも北朝鮮との対立は望んでいないが、情勢を正すため、必要な対応を行うと言ってくれていると付言した。
なお、米政府高官は、裏話として、6月12日の米朝首脳会談の準備のために米国政府関係者が先週にシンガポールを訪問しているのに、北朝鮮側関係者は一切姿を見せず、結果として、首脳会談の準備を断念せざるを得なかったと打ち明けている。
一方、マイク・ポンペオ国務長官は5月24日、上院外交委員会において、米朝首脳会談の再設定は“依然楽観視”していると述べた。
同日付ロシア『スプートニク・インターナショナル』オンラインニュース:「ペンス副大統領と北朝鮮側応酬後、トランプ大統領が米朝首脳会談をキャンセル」
米政府高官は、米朝首脳会談中止の理由として、北朝鮮側が事前準備のためにシンガポールに一切関係者を派遣しなかったことを挙げた。
更に同高官は、北朝鮮が先週突然、南北閣僚級会談を一方的にキャンセルしたり、また、北朝鮮北部の豊渓里(プンゲリ)核実験場の廃棄行動に、検証に当れる専門家の立会いを拒否したこと等もその理由になっていると述べた。
米朝首脳会談の突然の中止報道に関し、ウラジーミル・プーチン大統領は、残念なニュースであるが、当該首脳会談が近い将来再設定されることを望むと語った。
また、エマニュエル・マクロン仏大統領は、米朝首脳会談中止に拘らず、朝鮮半島の緊張緩和に向けての平和的プロセス(非核化及び武装解除等)の努力は継続されるべきだとコメントした。
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