ロドリゴ・ドゥテルテ大統領は、フィリピンのトランプと揶揄されるように、時には本家も凌ぐほどの暴君振りを発揮している。そしてまた、国際人権擁護団体等が目くじらを立てるに違いない暴言を吐いた。すなわち、不特定多数、特に役人も含めた麻薬犯罪被疑者と思われる人に対して、死にたくなければ自首して刑に服した方が良い、と間接的に超法規的殺人を認めるような発言をしている。
5月23日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ドゥテルテ比大統領、麻薬犯罪被疑者に向かって、“死にたくなければ刑務所に入れ”と発言」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(72歳)は5月22日、麻薬被疑者に向かって、死にたくなければ自首して刑務所に入るが良いと発言した。
フィリピン中部のセブ州における麻薬犯罪に関して演説したもので、就任以来最優先に取り組んでいる麻薬撲滅運動推進に当り、最も直近で発した脅しである。...
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5月23日付米
『Foxニュース』(
『AP通信』配信):「ドゥテルテ比大統領、麻薬犯罪被疑者に向かって、“死にたくなければ刑務所に入れ”と発言」
ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(72歳)は5月22日、麻薬被疑者に向かって、死にたくなければ自首して刑務所に入るが良いと発言した。
フィリピン中部のセブ州における麻薬犯罪に関して演説したもので、就任以来最優先に取り組んでいる麻薬撲滅運動推進に当り、最も直近で発した脅しである。
同大統領は、今回のメッセージを誰に宛てたのか明らかにしていないが、同州の違法麻薬取引で財を成している被疑者に向かって申し立てたものとみられる。
実際に発生した事例として、2016年に麻薬犯罪容疑者のローランド・エスピノーザ町長(セブ島東部のレイテ島内)が警察官に射殺される事件があった。警察側は同容疑者との間で銃撃戦があったためとしているが、政府側調査官は殺人だったと主張している。ただ、その後、実行犯とされた警察官は減刑され、現在は職務に復帰している。
5月22日付英『ジ・インディペンデント』紙:「ロドリゴ・ドゥテルテ比大統領、麻薬犯罪被疑者に対して、長生きしたければ刑務所に留まれと警告」
ドゥテルテ大統領は5月22日のテレビ演説で、セブ州の麻薬取引で蓄財しているとされる被疑者に対して、もし長生きしたければ、刑に服して刑務所内で大人しくしていた方が良いと発言した。
実際に2016年、フィリピン中部のレイテ州内において、麻薬犯罪容疑で留置されていたエスピノーザ町長が脱走しようとしたとして、警察官に射殺される事件が発生している。
なお、同大統領が推進する麻薬撲滅運動の結果、約4千人に上る被疑者が警察官によって殺害されているが、政府側は、被疑者の抵抗があったため止むを得ない措置だとして、超法規的殺人を真っ向から否定している。
5月23日付ロシア『RT(ロシア・トゥデイ)ニュース』:「ドゥテルテ大統領、麻薬犯罪被疑者に向かって、“もっと長く生きたければ刑務所に留まった方が良い”と発言」
フィリピン警察は、2016年7月以来、約4,100人余りの麻薬犯罪容疑者を射殺したとしているが、人権擁護グループは、実際にはその3倍の人が犠牲になっていると非難している。
なお、ドゥテルテ大統領自身、フィリピン南部のダバオ市で市長職にあった際、麻薬犯罪者を射殺したことがあると昨年12月に認めている。
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