5月22日付
『ロイター通信』は「1日卵1個で心臓病リスク軽減か」との見出しで以下のように報道している。
中国の研究によると、毎日卵を食べる人は全く食べない人に比べ、心臓病や発作を起こすリスクが低いとの関連性が指摘されている。平均年齢51歳の成人46万人(調査開始時、心臓病発病歴なし)を対象とした調査。
平均して卵を1日0.5個を摂取、9%の人は全く摂取せず、13%は毎日約1個を摂取した。...
全部読む
5月22日付
『ロイター通信』は「1日卵1個で心臓病リスク軽減か」との見出しで以下のように報道している。
中国の研究によると、毎日卵を食べる人は全く食べない人に比べ、心臓病や発作を起こすリスクが低いとの関連性が指摘されている。平均年齢51歳の成人46万人(調査開始時、心臓病発病歴なし)を対象とした調査。
平均して卵を1日0.5個を摂取、9%の人は全く摂取せず、13%は毎日約1個を摂取した。
半数の対象者を9年以上に渡り調査したところ、その間8.3万人が心臓病や発作を発病し、そのうち9千人超がその発病が原因で死亡した。
卵を全く食べなった人と比較すると、平均1日0.76個食べた人で11%発症率が低く、発症による死亡率は18%低い結果となった。
ハーバード医科大の教授は「卵が重要なタンパク源となる地域の人々には朗報。適度な摂取は病気に有効であると言える。だが、だからと言って毎日食べ始める必要はない。この研究では、卵を1個以上摂取した場合のリスクには触れていない。」としている。
心臓病を抱える人全てに卵が安全という訳ではなく、特に糖尿病には適していないとの意見もある。卵はコレストロール源であると同時に脂肪分の少ないタンパク質と多種のビタミンを含む。黄身は血管を詰まらせるホスファチジルコリンという物質を含有し、血管疾患のリスクを高める。
以前の研究では、卵と心臓病の関係性についてリスクを助長するとの発表もされており、コレステロールに関しては見解は二転三転している。卵には約200ミリグラムのコレステロールが含まれ、以前は卵を食べるとコレステロール値が上がるとされていた。
だが最近の研究では、卵は、肝臓内で低比重リポ蛋白 (LDL;血液中で増加し血栓や心臓発作を引き起こす) の生成を押さえ、血液をサラサラに保つ高比重リポ蛋白(HDL)の生成を促すとの発表があった。
また、中国での調査結果が別の国では適応しない可能性もある。中国の被験者は健康的な体重で心臓病既往歴のない人が対象たったが、米国では多くの成人が平均体重を超える肥満で、肉やイモの多い西洋式の食事を摂っている。卵と心臓病との関係性にややずれが生じる恐れがあるのである。
5月21日付米国『CNN』は「1日1個の卵で心臓病のリスクを減らせるかも知れない」との見出しで以下のように報道している。
中国の40万人を対象とした研究(30~79歳の約13%が1日約1個の卵を摂取し、9%がほとんど食べない。ほぼ全員は鶏肉は摂取)によると、1日1個の卵で心臓血管病のリスクが軽減したという。
心臓病には、心臓発作に加えて心不全、不整脈、心臓弁疾患を含む心臓血管疾患があり、不健康な食事や運動不足、喫煙、アルコールによって引き起こされる高血圧、肥満、高血糖などは、心臓血管疾患のリスクを高める。
この研究の共同著者のユン・カンチン北京大学公衆衛生学准教授は、「卵は、高タンパクだがコレステロール値が高いため、以前は卵を食べ過ぎないよう医師は警告していた。だが現在の研究では、 卵と心臓血管病の関係は、摂取例や情報の欠如により、賛否が分かれる問題であり、その究明のためこの研究が行われというのも理由の一部である。」と述べている。
アルバータ大学のカロライン・リチャード準教授は、「この研究は観察データに基づくもので病気リスクとの直接的因果関係の証明とまではいかないが、大規模で今あるリソースを駆使した最大の研究結果であるとはいえる。」としている。自身の研究によると、1週間に6~12個の卵を食べた研究では、心疾患や高血圧、血糖、コレステロール値などの問題は起きなかったという。
中国では心臓血管疾患が死因の半分を占める主な死因。WHOによると、世界で心臓血管疾患で亡くなる人は年間1770万人で、死因と障害の主な原因。毎年死者の31%が心臓血管疾患で死亡している。
閉じる