中国は、1978年に改革開放政策に大きく舵を切ったと同時に、人口爆発を抑えるための「一人っ子政策(注後記)」を1979年に導入した。当初は成果がみられたものの、21世紀になってからは、人口減少や高齢化問題に直面するだけでなく、政府が出産制限をすることが人権侵害に当ると国際社会で問題化してきていた。そこで、当該政策が2014年から徐々に緩和され、2015年後半からは1家族2人までの子供が認められることになった。しかし、それでも、超高齢化社会の現出が避けられない事態となり、国務院も漸く重い腰を挙げて、本年中の「人口抑制政策(二人っ子政策)」完全撤廃に向けて準備を始めた模様である。
5月21日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「中国、人口抑制政策を本年中に撤廃することを検討」
中国国務院(内閣に相当)が、今や人権問題及び労働人口減少という事態を招いてしまった“人口抑制政策(かつて一人っ子政策、現在は二人っ子政策)”を撤廃することを検討している。
国務院主導で集められた特別審議委員会のメンバーが匿名で明かしたもので、当初人口爆発を抑えるために40年程前に始められた“人口抑制政策”を、早ければ今年第4四半期(10~12月期)に撤廃することになるという。...
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5月21日付米
『ブルームバーグ』オンラインニュース:「中国、人口抑制政策を本年中に撤廃することを検討」
中国国務院(内閣に相当)が、今や人権問題及び労働人口減少という事態を招いてしまった“人口抑制政策(かつて一人っ子政策、現在は二人っ子政策)”を撤廃することを検討している。
国務院主導で集められた特別審議委員会のメンバーが匿名で明かしたもので、当初人口爆発を抑えるために40年程前に始められた“人口抑制政策”を、早ければ今年第4四半期(10~12月期)に撤廃することになるという。
背景には、かつての一人っ子政策が、欧米諸国から人権侵害だとして厳しく非難されたことがあり、2015年後半から二人っ子政策に緩和されても、依然非難が続いていたことがある。
更に、長らくの人口抑制政策の結果、労働人口減少、かつ高齢化問題が深刻になっていることが挙げられる。
国家統計局によると、同政策が緩和されて3年経っても出生数の減少は食い止められず、昨年の出生数は1,720万人と、依然前年比▼3.5%減となっている。
なお、国務院は昨年、2030年には人口の4分の1が60歳以上と、2010年時より13%も上昇するとの予想を発表している。
一方、当該抑制政策がもたらした弊害として、男女構成率のいびつさが挙げられる。すなわち、米連邦中央情報局(CIA)の『ワールド・ファクトブック(世界各国に関する情報を年鑑形式でまとめた年次刊行物)』によると、中国の成年の男女比率は106:100と、世界平均の102:100に比し極端になっており、人口抑制政策が撤廃されても、すぐにも出生数の増加には結びつかないものとみられる。
5月22日付英『ザ・テレグラフ』紙:「中国、人口抑制政策の“完全撤廃を検討”」
5月21日付米『ブルームバーグ』オンラインニュースによると、中国国務院が、本年末か2019年までに、40年続いた人口抑制政策を完全に撤廃することを検討しているという。
長年の当該政策によってもたらされた問題は深刻で、中国の専門家の分析では、2016年末現在9億9,830万人の労働人口が、2040年には約4,000万人も減少するという。
また、国連の推計によると、2050年には60歳以上の人口比率が30%にも達するといい、これは世界平均の20%はもとより、2000年時の中国における比率の10%をも遥かに上回ることになる。
更に、男女構成比率がいびつとなっていて、2017年末における男性人口は、女性より3,266万人も多くなってしまっている。
(注)一人っ子政策:1979年に始動した、人口爆発を抑える政策。しかし、直近20年にわたり人口減少が促進され、特に労働人口減少や高齢化のスピードアップが問題となり、2014年から徐々に緩和され、2015年後半からは一家族当り二人まで許容されることになった。当政策が中々緩和されなかったのは、政府にとって、同政策に違反する夫婦に科される罰金収入が魅力だったとみられている。
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