5月頭、開発者向けカンファレンス「Google I/O」で、グーグルは、人工知能(AI)に電話予約をさせるグーグル アシスタントの新機能 Google Duplex を発表した。
グーグル アシスタントに指示するだけで、美容院やレストランにAIが電話をかけ、まるで人間のような自然な話し方で希望日時や人数などを伝え、予約を入れてくれる。
衝撃的な技術を発表したグーグルだが、さっそく様々な懸念の声が上がってきている。
特に論争の的になったのは、電話をかけるAIの声や話し方。グーグル最高経営責任者(CEO)のサンダー・ピチャイの基調講演で、事前録画した動画を流し、デモンストレーションが行われたが、AIは人間の声や話し方の全ての特徴を持っており、AIであることに気が付かないほど、自然体でなめらかであった。...
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グーグル アシスタントに指示するだけで、美容院やレストランにAIが電話をかけ、まるで人間のような自然な話し方で希望日時や人数などを伝え、予約を入れてくれる。
衝撃的な技術を発表したグーグルだが、さっそく様々な懸念の声が上がってきている。
特に論争の的になったのは、電話をかけるAIの声や話し方。グーグル最高経営責任者(CEO)のサンダー・ピチャイの基調講演で、事前録画した動画を流し、デモンストレーションが行われたが、AIは人間の声や話し方の全ての特徴を持っており、AIであることに気が付かないほど、自然体でなめらかであった。聴衆はみなその技術に衝撃を受けた。
しかし、世界では懸念の声も広がっている。詐欺、電話による嫌がらせ、宣伝など、人間の声と区別できない人工知能の声がもたらす倫理的な問題や悪用される危険性がいろいろと考えられる。これらの危険性をどう回避するのか。
ペンシルベニア州にあるカーネギー・メロン大学の人間とコンピュータの交流の研究者、アレクサンダー・ルドニーキー(Alexander Rudnicky)氏は、ワイアード(Wired)誌で次のように語っている。「まず冒頭でグーグルの誰々のアシスタントです、と名乗るか、AIであることが分かるような挨拶をさせる必要がある。」
また、ノースカロライナ大学の教授でニューテクノロジー評論家のザイナップ・タフェルシー(Zeynep Tufekci)氏は、「恐ろしいことだ」、「シリコンバレーは倫理を失い、漂流しており、何も学んでいない。」とツイートでつぶやいている。
Duplexの技術はまだ完成ではなく、今夏、試験的実施を行う予定だ。またグーグルによると、電話予約という特定の業務に対してAIをトレーニングしたため、話題を変えられても予約と挨拶しか返せないという。
CEOのピチャイ氏は、特に専門職や中小企業をターゲットにしたサービスとして考えていることを強調した。IT分野の調査・助言を行う企業、ガートナーによると、2020年には小売取引の85%は人間の介入なしに人工知能によって管理されると予測されている。
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