昨年7月の当コラムにおいて、安倍晋三首相が、刎頸の友である加計孝太郎氏と頻繁に会食やゴルフを一緒に行い、おごり・おごられる関係であったことが判明し、獣医学部新設に関わるスキャンダルの一環として、大いに問題視されていると報じた。
今回はその「ゴルフ接待」事情ではなく、「ゴルフ事情(特にゴルファー人口)」について触れてみたい。
すなわち、日本におけるゴルファー人口は、ピーク時に比し半減しており、ゴルフ場経営含めて、ゴルフ産業にとって深刻な状況が続いている。...
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昨年7月の当コラムにおいて、安倍晋三首相が、刎頸の友である加計孝太郎氏と頻繁に会食やゴルフを一緒に行い、おごり・おごられる関係であったことが判明し、獣医学部新設に関わるスキャンダルの一環として、大いに問題視されていると報じた。
今回はその「ゴルフ接待」事情ではなく、「ゴルフ事情(特にゴルファー人口)」について触れてみたい。
すなわち、日本におけるゴルファー人口は、ピーク時に比し半減しており、ゴルフ場経営含めて、ゴルフ産業にとって深刻な状況が続いている。
公益財団法人日本生産性本部発行の「レジャー白書2017」によれば、2016年のゴルファー人口は550万人と、2015年の760万人から▼28%も減っており、2001年の1,340万人からは▼59%もの減少となっている。
その背景には、少子高齢化及び若者のゴルフ離れが考えられる。
現に、当該白書のデータからも、2016年のゴルファー人口内訳が、30~50代:48%、60~70代:45%、であるのに対して、20代:3.3%、10代:0.5%と、その差は歴然としている。
ついでに男女差に触れると、女性ゴルファーが13.7%であり、同白書の調査対象28競技の中で、最も少ない数値となっている。
減少の理由を別の角度からみてみると、ゴルフが“高/遠/長”と、人々がレジャー等に求める“安/近/短”と真逆となっていることも大きな理由の一つと言える。
すなわち、一般的な人間が集中できる時間的限界から、レジャー・イベント等には“2時間の壁”があると言われている。映画、コンサート、ドラマ放送、講演会、野球、サッカー等は概ねその範囲内に収まっているのに対して、ゴルフはプレーだけで5時間程度かかり、ゴルフ場までの移動も考えると1日がかりというのが常識となっているからである。
世界のゴルフ事情も概ね似たようなもので、ゴルフ事業に関わる人たちもその危機感を持っている模様である。
ビジネスの世界で言えば、2016年にナイキが、また、2017年にはアディダスがゴルフ用具市場から撤退している。
そして、世界のゴルフ・ルールを統括する、R&A(英国ゴルフ協会)及びUSGA(全米ゴルフ協会)も危機感を募らせたようで、“競技人口増”及び“時間短縮”達成のため、数百年の歴史の中で大改革と言われる「ゴルフ・ルールの改定」を今年3月に発表し、その適用も1年早めて2019年1月1日施行とするとしている。
当Globali読者の中には、ゴルフに興味を持たれない方もいようから、当該ルール改定詳細には触れないが、端的に言って、複雑だったルールを簡素化し、誰もが楽しく健康的に、生涯ゴルフを続けられるようにしていることが特記される。
なお、R&Aがリリースした2015年のデータであるが、日本及び主要国のゴルフ事情は以下となっている。
●米国:①ゴルファー人口 2,620万人、②ゴルフ場数 15,372(全世界約3万2千コースの約45%)
●日本:①760万人、②2,383
●カナダ:①570万人、②2,363
●英国:①280万人、②2,825
●豪州:①110万人、②1,628
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