中国の杭州にある高等学校で、このほど顔認識システムを搭載した人工知能(AI)カメラが教室に設置され、生徒の状態や行動を監視しているというニュースが、先週報じられた。
この学校は杭州市の第11高等学校で、生徒らの表情や動きを把握し、授業に注意を払っているかどうかを確認するために、ビッグデータによって分析を行う「スマート教室行動管理システム」が導入されたという。
同システムは、黒板の上方に置かれた3台のカメラを使用し、生徒が何かを読んだり、人の話を聞いたりしているのか、あるいは机で居眠りをしているのかなどの状況を区別し、楽しさ、悲しさ、失望、嫌悪、恐怖、驚きなどの感情を表情から検知する。...
全部読む
この学校は杭州市の第11高等学校で、生徒らの表情や動きを把握し、授業に注意を払っているかどうかを確認するために、ビッグデータによって分析を行う「スマート教室行動管理システム」が導入されたという。
同システムは、黒板の上方に置かれた3台のカメラを使用し、生徒が何かを読んだり、人の話を聞いたりしているのか、あるいは机で居眠りをしているのかなどの状況を区別し、楽しさ、悲しさ、失望、嫌悪、恐怖、驚きなどの感情を表情から検知する。生徒らはリアルタイムで集中度を採点され、教師はそれをスクリーン上で確認し、必要な指導をすることができる。
中国では、AIと顔認識技術の開発が積極的に進められている。支払いの際の個人の認識や、大規模な娯楽イベントの観衆やファーストフード店の顧客のチェックなど、その利用が拡大しており、監視カメラは中国の大都市の多くで、日常生活の一部となっている。
杭州の学校のシステムは、世界最大規模の防犯・監視カメラのサプライヤーの1つであり、独自のAI技術を開発する杭州海康威視数字技術(Hangzhou Hikvision Digital Technology)によって考案されたもので、この技術は大学の講義に対する学生の興味の計測などにも使われている。
同技術は、中国では犯罪の検知に長く用いられてきたが、当局が市民の動きを監視して、反体制的な思想を抑圧するために、監視国家を作り上げようとしているとの懸念も招いている。中国政府はこうした新しい技術は、近代的な消費者社会を構築するための土台であり、欠かせないものであると説明する。
杭州の学校の副校長は、「システムは生徒たちの顔の表情や行動の情報だけを収集する。これにより、教師と生徒の意思疎通を改善することが可能となる。」とメディアに対し語った。あるクラスで1カ月試行したところ、生徒らは監視されることを受け入れ始め、態度も改善したとしており、夏までに全教室にシステムを備え付ける予定であるという。
閉じる