ベネズエラ国内の超インフレと食料品、医療品の欠乏状態にも関わらず、現職のニコラス・マジュロ大統領が再選を果たすとの見方が大多数を占めている。野党勢力は有権者に投票の棄権を呼びかけている。というのは、野党陣営から大統領が選ばれたとしても、現政権の選挙管理委員が結果を覆して、結局は現職のニコラス・マジュロ大統領が再選されるので、投票する意味がないのが理由である。
しかしながら、マジュロ大統領の評判が最低レベルに落ちているので、番狂わせで現体制反対派の候補が大統領に選ばれる可能性も無視できないと考えられている。...
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ベネズエラ国内の超インフレと食料品、医療品の欠乏状態にも関わらず、現職のニコラス・マジュロ大統領が再選を果たすとの見方が大多数を占めている。野党勢力は有権者に投票の棄権を呼びかけている。というのは、野党陣営から大統領が選ばれたとしても、現政権の選挙管理委員が結果を覆して、結局は現職のニコラス・マジュロ大統領が再選されるので、投票する意味がないのが理由である。
しかしながら、マジュロ大統領の評判が最低レベルに落ちているので、番狂わせで現体制反対派の候補が大統領に選ばれる可能性も無視できないと考えられている。
現職以外の大統領立候補者の中で最も強力な人物は、ヘンリ・ファルコン氏でかつて州知事を務めている。彼は現政権と同じ社会主義的独裁政権のチャベス大統領に親交したこともあり、選挙の棄権を呼びかけている反対派連立勢力との一線を画している。
彼が2ケタのパーセントの差でマジュロ大統領に勝利するのではないかと憶測する選挙予想も報じられている。有力立候補者のファルコン氏の当選後の公約として、ベネズエラ通貨ボリバーの年間13,000%に及ぶ超インフレに対する対策として、アメリカドルとの連動性を提案している。さらに最低賃金としてひと月当たり、75アメリカドルに引き上げるとの提案をしている。世論調査によれば3分の2のベネズエラ人がファルコン氏の政策に賛成しているが、同様の政策は2002年にアルゼンチンで破綻したこともあって、懐疑的な意見も多い。その他の立候補者としてはテレビ・キャスターのハビエル・ベルツッチ氏がいるが当て馬的な存在である。
なお、アメリカのトランプ政権はベネズエラ現マジュロ政権に対して独裁政権とみなしており、ベネズエラ政府の要人に経済制裁を加えている。もし、現政権が選挙で勝てば、今後、ベネズエラからのアメリカへの石油輸出に制限を加える可能性がある。日本の石油開発会社もベネズエラの油田開発やガス田開発に投資している関係から、5月20日のベネズエラの大統領選の成り行きに注目していきたい。
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