【Globali】
アメリカのイランとの6か国核合意破棄で今後、石油ショックが起こるかも知れない(2018/05/15)
今回のアメリカ大統領ドナルド・トランプのイランとの6か国核合意破棄の決定でオイル市場はブレント原油の1バーレルの値動きが74 USドルから77 USドルへの小幅な上昇にとどまった。これは大統領の決定があらかじめ予想されていたことによるもので、大きな石油価格の上昇が起こるとしたらこれから少し先と予想されている。
これまでの5年間、原油価格は従来の原油輸出国機構(OPEC)とアメリカで主として生産されるシェールオイル生産者のお互いの生産調整により地政学的に決定されてきた。過去12か月間ではOPECの生産量減少方針が功を奏して、1バーレル原油価格が50 USドルから75 USドルまでに上昇した。
シェールオイルが2014年から原油マーケットに登場したが、最初はバーレル原油価格が100 US以上で話にならなかったが、その後の生産量アップで値段を下げ、OPECの原油価格と太刀打ちできるようになった。...
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これまでの5年間、原油価格は従来の原油輸出国機構(OPEC)とアメリカで主として生産されるシェールオイル生産者のお互いの生産調整により地政学的に決定されてきた。過去12か月間ではOPECの生産量減少方針が功を奏して、1バーレル原油価格が50 USドルから75 USドルまでに上昇した。
シェールオイルが2014年から原油マーケットに登場したが、最初はバーレル原油価格が100 US以上で話にならなかったが、その後の生産量アップで値段を下げ、OPECの原油価格と太刀打ちできるようになった。近年、アメリカではシェールオイルとシェルガスの生産量増加に伴い、原油、ガスの輸入国から輸出国に転じ、原油価格のマーケット価格を低水準に要因となった。
サウジアラビア、ロシアを含むOPEC加盟各国では、価格を高値で統制するため、原油生産量を落とさざるをえなく、その結果、原油輸出による収入が減少して、国家財政を圧迫しているのが現実である。なお、サウジアラビアの国営石油会社、アラムコの株式を市場公開しようとするもくろみもサウジアラビア政府の国家財政の改善政策の一環である。
これまでは幸いにして、原油価格がOPECとシェールオイル生産者との地政的なバランスで決定されてきた。しかしながら、アメリカの6か国核合意破棄で、これからは政治的な関与での大きな石油ショックも予想される。
今回のアメリカのイランとの6か国核合意破棄も見方を変えれば、サウジアラビアを含むペルシャ湾岸諸国のイエメン、シリア、レバノン内戦で敵対であるイランを核合意破棄で政情不安定に陥れ、イランの現体制を崩壊され、内乱を終結させ、アメリカ同盟国の内乱関与での出費の増大を食い止めようとする政策の一環である。その過程で、反発したイランによるホルムズ海峡の閉鎖も考えられ、今後のオイルショックのリスクも否定できない。
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