【Globali】
カタールと近隣ペルシャ湾岸諸国との反目はしばらく続きそう(2018/05/14)
カタールは液化天然ガス(LNG)の生産量が世界一を誇り、年間約1億トンを生産しており、世界のLNG生産量の1/3に相当する。日本のガス会社や電力会社にもLNGタンカーを使って供給している。
日本にとってもエネルギー供給国として大切な国、カタールが近隣の国々、UAEのアブダビ、バーレン、サウジアラビアさらにはエジプトと今や1年近く国交を断たれている。周辺国の言い分としては、カタールがテロリストグループに資金援助しているという。
これに関しては、確固たる証拠があるわけではなく、先月ワシントンを訪れたカタール王族、タミム・ビン・ハマッド・アル―サニに対してアメリカ大統領、ドナルド・トランプは最恵国待遇して迎え、2週間前にサウジアラビアを訪問したポンぺオ国務長官もカタールに対する国交断絶状態を一刻も早く解除し、近隣ペルシャ湾岸諸国間の結束を強めるように促した。...
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日本にとってもエネルギー供給国として大切な国、カタールが近隣の国々、UAEのアブダビ、バーレン、サウジアラビアさらにはエジプトと今や1年近く国交を断たれている。周辺国の言い分としては、カタールがテロリストグループに資金援助しているという。
これに関しては、確固たる証拠があるわけではなく、先月ワシントンを訪れたカタール王族、タミム・ビン・ハマッド・アル―サニに対してアメリカ大統領、ドナルド・トランプは最恵国待遇して迎え、2週間前にサウジアラビアを訪問したポンぺオ国務長官もカタールに対する国交断絶状態を一刻も早く解除し、近隣ペルシャ湾岸諸国間の結束を強めるように促した。特に中東でのイランの動きに対抗するため、近隣ペルシャ湾岸諸国間の結束を高めることがトランプ政権の優先課題となっている。
しかし、サウジアラビアやUAEはアメリカの説得には譲歩の態度すら見せず、UAEの外務大臣のアンワール・ガルガッシ氏は、5月にはいってからツイッターで「カタールと自国間の問題にアメリカが口だししてほしくない」と表明している。カタールが隣国諸国の政策に関わらず独立した政策路線をとり、エジプトやチュニジアではムスリム同胞団と呼ばれるイスラム革命グループに加担して周辺国の非難を浴びたりすることは今に始まったことではない。
日本では明治維新の年、1867年にすでにカタール部族は現在のUAEのアブダビ部族やバーレン部族に包囲されながらも、カタール半島を守るために抗争した。その後、カタール半島の豊富な天然ガス資源をめぐる妬みや、利権争い、各王家間の抗争が絡み合って現在のカタールと湾岸周辺国のいがみ合い構造が出来上がっている。
アメリカの意図する「近隣ペルシャ湾岸諸国間の結束」にはしばらく時間がかかりそうである。
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