オバマ大統領時代に２年間の粘り強い協議の末、2015年にイランと６か国間（アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国およびロシア）で交わされたイランに対する核兵器に転用可能な濃縮ウランの濃度を3.67%以下に制限し、監視する協定でイランの核兵器開発を阻止することを目的としている。これにより、イランはそれまでの欧米諸国からの経済制裁、特に石油輸出規制から解放されつつあった。
今回のアメリカの6か国間核合意破棄は、当事国のイラン、さらに中東各国に今後、何をもたらすのか？
これに対する答えについてはトランプ政権の誰も明確な回答を持ち合わせていない所に、大きな危険性がある。...
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オバマ大統領時代に２年間の粘り強い協議の末、2015年にイランと６か国間（アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、中国およびロシア）で交わされたイランに対する核兵器に転用可能な濃縮ウランの濃度を3.67%以下に制限し、監視する協定でイランの核兵器開発を阻止することを目的としている。これにより、イランはそれまでの欧米諸国からの経済制裁、特に石油輸出規制から解放されつつあった。
今回のアメリカの6か国間核合意破棄は、当事国のイラン、さらに中東各国に今後、何をもたらすのか？
これに対する答えについてはトランプ政権の誰も明確な回答を持ち合わせていない所に、大きな危険性がある。イラン革命から今年で39年、イランはそれなりに民主的な政権が樹立されており、経済状態はなお脆弱であるが、ヨーロッパおよび日本を含めた外国資本も徐々にこの国に投資しつつあり、経済も改善に向かっているところである。
現在、７８歳のイラン最高指導者ホメイニ師が近い将来亡くなった後、イランの政情不安定状態が危惧されるが、同時に、近代化の波に拍車がかかることも期待される。穏健派のハッサン・ロハニー大統領のもとで2015年にオバマ政権時代に締結された６か国間核合意により、対イラン経済制裁から徐々に開放されている矢先、今回のアメリカの6か国間核合意の破棄は何をもたらすかは明白である。
イラン国内の経済制裁による経済の低迷、若者の失業の増加による社会不安の増長、ロハニー大統領がこれまで抑えようとしていたイラン国内のイラン革命過激派の台頭、対イラン経済制裁でイランの石油輸出が途絶え、イラン経済の貧窮によりイラン人の国外への流出、どれをとっても、中東情勢にたいするマイナス材料ばかりである。
ともあれ、今回のアメリカの６か国合意破棄はイランをイスラム部族間の内戦で明け暮れるシリア、イラク、レバノンもしくはイエメンのような国のニの舞にする危険をはらんでいる。
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