ノーベル文学賞の選考を行うスウェーデン・アカデミーは先週末の20日、過去の一部の受賞者名が事前に漏洩していたことを認めた。同国国王は、アカデミー規則を変更する意向を表明している。
同アカデミーは、会員の1人である女流詩人の夫でアカデミーを私物化していたと言われる、有名文化人のジャン・クロード・アルノー氏による会員やその家族への性的暴行事件の調査を行っていたが、その過程で、ボブ・ディラン氏他、過去の一部のノーベル文学賞受賞者の氏名が事前に漏洩していたという疑惑が浮上していた。
スウェーデン・アカデミーは1786年、国王グスタフ3世によって設立された同国の言語や文学などに関する学士院で、ノーベル文学賞の選考団体を兼ねている。...
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同アカデミーは、会員の1人である女流詩人の夫でアカデミーを私物化していたと言われる、有名文化人のジャン・クロード・アルノー氏による会員やその家族への性的暴行事件の調査を行っていたが、その過程で、ボブ・ディラン氏他、過去の一部のノーベル文学賞受賞者の氏名が事前に漏洩していたという疑惑が浮上していた。
スウェーデン・アカデミーは1786年、国王グスタフ3世によって設立された同国の言語や文学などに関する学士院で、ノーベル文学賞の選考団体を兼ねている。定員は設立時から18名で全員が終身会員だ。従って、原則として生存中は脱退できない。
弁護士事務所による調査を実施した結果、「ノーベル文学賞の選考作業について、アカデミーの機密規則の違反が行われたことが判明した。」と同アカデミーは声明で受賞者の氏名漏洩を認めた。但し、情報の流出源については明らかにしなかった。
調査ではまた、アルノー氏による「受け入れ難い品行」は、アカデミー内では一般に知られていなかったとされている。同アカデミーは、調査結果は司法当局に送られると説明した。アルノー氏の弁護士によれば、同氏は性的暴行や受賞者の氏名漏洩などについて、全ての疑惑を否定しているとのことである。
同アカデミーは、各種規則や組織内外とのコミュニケーションのあり方を見直すとしている。また、ノーベル文学賞の評判は今回のスキャンダルで大いに傷つけられたが、今年の受賞者を選考する委員会は、通常通り機能していると述べた。
本スキャンダルにより、終身制に関わらず、サラ・ダニウス事務局長が辞任に追い込まれた他、アルノー氏の妻のカタリナ・フロステンソン氏ら5名のアカデミー会員が辞任した。スキャンダルは男女平等を推進するスウェーデン国民の怒りを買い、アカデミー全員の辞任を求め、19日に大規模な抗議活動が行われている。カール16世グスタフ国王は、終身制を改めて新たな会員が加入できるようにするなど、アカデミーの規則を変更する意向を表明している。
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