報告では、2017~2018年の公務関連職を含む、過去数年間に掲載された36,000件の求人票を調査した。中国当局による敵意と抑圧のもとで、つまり非協力的な体制で作業が進められたことを著者らは指摘している。
「頻繁な時間外労働あり、過酷な作業、男性のみ応募可」のように、「男性のみ」、「男性が適した」などの言葉が多数の求人票でみられた。公務員の求人では五分の一が該当し、これに対して「女性のみ」と書かれた求人は2018年の1件のみであった。...
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報告では、2017~2018年の公務関連職を含む、過去数年間に掲載された36,000件の求人票を調査した。中国当局による敵意と抑圧のもとで、つまり非協力的な体制で作業が進められたことを著者らは指摘している。
「頻繁な時間外労働あり、過酷な作業、男性のみ応募可」のように、「男性のみ」、「男性が適した」などの言葉が多数の求人票でみられた。公務員の求人では五分の一が該当し、これに対して「女性のみ」と書かれた求人は2018年の1件のみであった。公安省では、求人の55%が男性であることを要件としていた。
女性の求人は、例えば「既婚で子持ち」といった性別の要件が記される傾向にあった。しかし、より多くみられたのは、外見に関する条件である。例えば電車の車掌になるには、身長が約155~168センチ、体重は約65キログラム未満で、「普通の顔の特徴を有し、入れ墨はなし、顔、首、腕に明らかな傷跡がないこと、皮膚の色が良いこと、肌の状態が良い」女性であることが求められる。
幸運にも百度(バイドゥ)や勝訊(テンセント)のような大手企業に採用された女性は、男性応募者を誘惑する対象として使われる。これらの「女神」は次に挙げる阿里巴巴(アリババ)の求人広告のように将来的な結婚相手としてみられている。「彼女たちはアリババ従業員の女神である―賢く仕事に有能で魅力的である。自立心はあるがおごらず、繊細だが芝居がかってはいない。彼女たちはあなたの同僚になることを希望している。あなたもそう思いませんか。」
HRW中国のソフィー・リチャードソン理事は、「これらの企業は自分たちが中国の近代化と進歩の勢力を担っていると自負しているが、採用戦略においては旧態依然としている。これは中国での女性差別がいかに根強いかを示すものだ。」と文書で説明した。中国は法律で採用時の男女差別を禁じているものの、何が男女差別にあたるか明確な定義はなく、法律は強制力に欠くと言う。
HRWの報告書を受けて、同日、テンセントは求人広告は同社の価値観を反映していない内容であったと謝罪し、アリババは今後求人広告の監視を強化すると発表した。バイドゥはそういった求人広告は「まれなケース」であるとの見解を示した。
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