米アラバマ州は19日、1989年の郵便爆弾による連邦裁判所判事の殺害事件などで有罪となっていた83歳のウォルター・ムーディー死刑囚の死刑を執行した。首都ワシントンを本拠とする非営利団体「死刑情報センター(DPIC)」によれば、同死刑囚は、連邦最高裁が1976年に死刑制度を復活して以来、死刑を執行された最高齢の人物であるという。
ムーディー死刑囚は、1986年にアラバマ州バーミンガムで、郵便物爆弾を送って連邦控訴裁のロバート・バンス判事を殺害したことにより、96年に州地裁で有罪となった。検察によれば、同死刑囚は、72年の別の爆弾所持事件の有罪判決を、裁判所と裁判官が覆すことを拒んだとして、復讐のために事件を企てたとのことである。
同死刑囚はまた、バンス判事の殺害事件と、公民権運動組織である全米有色人種地位向上協議会(NAACP)の弁護士、ジョージア州サバンナのロバート・ロビンソン氏の爆殺事件により、91年に連邦裁でも有罪となっていた。...
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ムーディー死刑囚は、1986年にアラバマ州バーミンガムで、郵便物爆弾を送って連邦控訴裁のロバート・バンス判事を殺害したことにより、96年に州地裁で有罪となった。検察によれば、同死刑囚は、72年の別の爆弾所持事件の有罪判決を、裁判所と裁判官が覆すことを拒んだとして、復讐のために事件を企てたとのことである。
同死刑囚はまた、バンス判事の殺害事件と、公民権運動組織である全米有色人種地位向上協議会(NAACP)の弁護士、ジョージア州サバンナのロバート・ロビンソン氏の爆殺事件により、91年に連邦裁でも有罪となっていた。
ムーディー死刑囚は、自分の罪はでっち上げられたものであるとの立場を貫いていた。同死刑囚の弁護士は、死刑執行の差し止めを求める申し立てをアラバマ州の高裁が棄却した後、米連邦最高裁に上告している。連邦最高裁は薬物注射による死刑執行を一時的に遅らせていたが、19日になって上告を棄却し、同死刑囚を収容していたアラバマ州アトモアのホルマン矯正施設内で死刑が執行された。
アラバマ州のスティーブ・マーシャル司法長官は、「ムーディー死刑囚は、司法判断を避けようと30年近くの時間を費やした。今夜、ムーディー氏の上訴は最終的に公正に退けられ、正義がもたらされた。」と述べた。
同死刑囚は、州が提供した最後の食事を拒否し、その代わりに友人と弁護士との面会時に、フィリーチーズ・ステーキのサンドイッチを2つ食べ、2本のドクター・ペッパーを飲んだという。死刑執行前には何の言葉も残さなかった。
今年米国の死刑執行は、同死刑囚で8人目となる。83歳だったが、2005年12月にミシシッピー州で、ジョン・ニクソン死刑囚が死刑を執行された時の最高齢記録、77歳を塗り替えた。2006年以来、ムーディー氏を含め、70歳以上の10人の死刑囚が死刑執行を受けており、また執行を待つ40%以上が50歳以上と、死刑囚の高齢化が進んでいる。
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