ロドリゴ・ドゥテルテ大統領(73歳)は就任以来、麻薬撲滅政策を最優先課題に据え、その遂行のためには、超法規的殺人も辞さない程急進的である。そこで欧米諸国や国際人権団体から、人権蹂躙だとして一斉に非難されている。しかし、ドナルド・トランプ大統領(71歳)からはその政策を褒められていたこともあり、バラク・オバマ前大統領(56歳)時にしきりに叫んだ米同盟離反政策を見直す機運もみられた。ただ、ここへきて米政府が麻薬戦争を問題視して、フィリピン向け武器輸出に制限を掛ける決定をしたことから、ドゥテルテ大統領も怒り心頭に達したためか、いよいよ米国と決別して、武器供給先を中ロに完全に乗り換えると宣言するに至っている。
4月6日付米
『ニューズウィーク』誌:「ドゥテルテ比大統領、米国が自分を抹殺しようとしているとして、武器調達先を中ロにシフトすると宣言」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は4月5日、マラカニアン宮殿(大統領官邸)に集まった大衆を前にして、米政府が麻薬撲滅戦争を懸念してフィリピン向け武器輸出を制限する決定をしたことを非難すると演説した。
同大統領は、ドナルド・トランプ大統領はフィリピンの麻薬犯罪撲滅政策を支持していたのに、米政府の行動は首尾一貫していないとした上で、代わって中ロ両国から武器を調達することにすると明言した。...
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4月6日付米
『ニューズウィーク』誌:「ドゥテルテ比大統領、米国が自分を抹殺しようとしているとして、武器調達先を中ロにシフトすると宣言」
フィリピンのロドリゴ・ドゥテルテ大統領は4月5日、マラカニアン宮殿(大統領官邸)に集まった大衆を前にして、米政府が麻薬撲滅戦争を懸念してフィリピン向け武器輸出を制限する決定をしたことを非難すると演説した。
同大統領は、ドナルド・トランプ大統領はフィリピンの麻薬犯罪撲滅政策を支持していたのに、米政府の行動は首尾一貫していないとした上で、代わって中ロ両国から武器を調達することにすると明言した。
また、同大統領は、米国宛に刺激的発言を繰り返していることから、自分が死んだら、それは米情報局(CIA)の仕業だとも述べている。
なお、同大統領は、上記発言をする以前から中ロ両国から武器の提供を受けていて、麻薬犯罪だけでなく、イスラム過激派陰謀のテロ対策にも活用している。
4月8日付フィリピン『テンポ』オンラインニュース:「ドゥテルテ大統領、麻薬密売人は大海原に投げ込めばよいとトランプ大統領に発破」
ドゥテルテ大統領は4月7日、パサイ市(マニラ南部の都市)で開かれた夕食会の席上、麻薬犯罪に憂うるトランプ大統領に対して、麻薬密売人は大西洋に投げ込んでしまえば犯罪は減ると煽る演説をした。
この背景には、米政府がフィリピンにおける麻薬戦争を懸念して、種々干渉してくることに同大統領が辟易していることが挙げられる。
すなわち、同大統領は、米国内の麻薬犯罪の方が遥かに膨大であるとした上で、米国にはCIAという優秀な捜査機関があるのだから、フィリピンのことなど構わずに自国内の犯罪撲滅に専念すれば良いと明言しているからである。
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