ニュージーランドの自然保護局は21日、南極に近い同国の世界遺産の島、アンティポデス島で、20万匹以上に繁殖してしまった外来のネズミの駆除に成功したことを発表した。他の国にとっても自然保護の参考となる事例であり、各国メディアが報じている。
アンティポデス島はニュージーランド本土から南東に約760キロのところにあり、面積は約21平方キロ。鳥類などの固有種の宝庫であり、周辺の島々とともにアンティポデス諸島として世界遺産「ニュージーランドの亜南極諸島」の一部を構成している。
同島は自然保護の観点から人の立ち入りが厳しく制限されており、無人島であるが、100年以上前に難破船などによって運ばれたネズミが島内で繁殖し、鳥のヒナ、卵、昆虫、種子などを食い荒らした結果、島の生態系が危機に直面することとなった。...
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アンティポデス島はニュージーランド本土から南東に約760キロのところにあり、面積は約21平方キロ。鳥類などの固有種の宝庫であり、周辺の島々とともにアンティポデス諸島として世界遺産「ニュージーランドの亜南極諸島」の一部を構成している。
同島は自然保護の観点から人の立ち入りが厳しく制限されており、無人島であるが、100年以上前に難破船などによって運ばれたネズミが島内で繁殖し、鳥のヒナ、卵、昆虫、種子などを食い荒らした結果、島の生態系が危機に直面することとなった。
そこで同国の当局は2014年、「ミリオン・ダラー・マウス」プロジェクトを開始し、島にいた20万匹以上のネズミを5年近くかけて根絶した。同プロジェクトは一部の資金を公的なクラウドファンディングにより調達し、自然保護局などの合同チームがキャンプを設営し、餌が減ってネズミの個体数が減少する冬の2016年6月に、3機のヘリから殺鼠剤を空中散布した。最終的に今年2月にネズミが残っていないか訓練犬も使って約1カ月間捜索したが、ネズミが生存する証拠は見つからなかったという。
ユージニー・セイジ自然保護相は、「この成功により、21種の繁殖力のある海鳥、150種以上の昆虫、21種の珍しい植物、4種の固有種の陸上の鳥などが生存し続けることができる。」と成果を強調した。
自然保護局のプロジェクトマネージャーであるスティーブン・ホーン氏は、「亜南極諸島は遠く離れた場所にあるが、非常に多くの固有種の生息地として、世界の自然保護において果たしている役割は、いくら語っても語り過ぎることはない。」と述べている。
ニュージーランド政府は、全ての外来種を2050年までに同国の島々から駆逐する計画を実行中であり、「ミリオン・ダラー・マウス」はこの壮大で野心的な計画の一部であるが、今回の成功により、モデルとなるプロジェクトとなった。同国は主要220島の内、100島以上で既に有害生物の駆除を完了して経験を重ねており、生態系の保護に取り組むための基準となる考え方を世界に提供している。
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