日本では長時間労働の是正が課題となっているが、フランスでは北部オーブ県のパン屋が休みなしに1週間続けて開業したとして、罰金3,000ユーロ(約39万円)の支払いを命じられたと先週報じられた。週末、多くの外国メディアもこの話題を取り上げている。
フランスでは、パンの名称や、パン屋がいつどの位の頻度で開店すべきかなどについても法律で事細かに定められているというが、フランス人にとって、パンはそれ程重要なものなのだ。オーブ県では、パン屋は休息を取るために週に1日は閉店しなければならないと法律で定めている。同法は1994年12月15日に発効したものであるが、こうした同国のパンに関係した細々とした法律は、一般にフランス革命時代にまで遡るという。
首都パリから南東へ190キロほど離れた、同県のリュジニー・シュル・バルス町でただ一軒のパン屋を営むセドリック・ヴェヴル氏は、観光客が押し寄せる2017年夏の書き入れ時に、できるだけ稼ごうと一週間毎日店を開けた。...
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フランスでは、パンの名称や、パン屋がいつどの位の頻度で開店すべきかなどについても法律で事細かに定められているというが、フランス人にとって、パンはそれ程重要なものなのだ。オーブ県では、パン屋は休息を取るために週に1日は閉店しなければならないと法律で定めている。同法は1994年12月15日に発効したものであるが、こうした同国のパンに関係した細々とした法律は、一般にフランス革命時代にまで遡るという。
首都パリから南東へ190キロほど離れた、同県のリュジニー・シュル・バルス町でただ一軒のパン屋を営むセドリック・ヴェヴル氏は、観光客が押し寄せる2017年夏の書き入れ時に、できるだけ稼ごうと一週間毎日店を開けた。これにより3,000ユーロの罰金を科せられたと仏メディアが報じている。
同氏は仏ラジオ局RMCに対し、自分はただ仕事が好きで、夏の需要に応じるためにその期間だけパン屋を開店したいだけだとして、罰金への不満を表明し、「働く人々を罰するのは、やめないといけない。」と述べた。
リュジニー・シュル・バルス町の支持者らは、罰金の免除と法律の改正を求めて請願運動を行っており、インターネット上で2,000人以上が賛同の意を表明した。同町の人口は2014年現在で約2,000人しかおらず、それを考えると非常に多くの支持が集まった。請願には「労働基準監督署と市政府へ、我々のパン屋を救って下さい!」と書かれている。
一方、オーブ県のパンやケーキなどの製造者組合のフレデリック・アミオ会長は、法律を擁護する。同氏は仏メディアに対し、「ヴェヴル氏が観光シーズンに稼ごうとする意欲は理解するが、この法律は全てのパン屋に適用される。」と述べ、警告した。
フランス人は、ワークライフバランスをパン同様大事にしている。2017年1月にフランスは、職場を離れた就業時間外には、仕事関連の連絡業務を制限する権利を労働者に認める法案を通過させた。同国の週35時間労働の基準は2000年以来施行されているが、様々な改定によって緩和されており、業界によっては特別な例外も認められている。
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