既報どおり、豪州政府は今週、東南アジア諸国連合(ASEAN)首脳をシドニーに迎えて首脳会議を開催する。また、インドは今年1月、ASEAN首脳をニューデリーに招待して、同じく首脳会議を開催している。かかる動きよりASEANは、相変わらず力で押してくる中国を牽制するためには、“米国第一”を掲げていきなり関税障壁を設けたり、外交トップのティラーソン国務長官を突然解任するトランプ大統領を余り頼りにせず、むしろインドや豪州に後ろ盾になってもらいたいと考え始めているとみられる。なお、残念ながら安倍首相は、トランプ大統領べったりと見做されているため、やはり頼りにはされていない模様である。
3月16日付米
『CNBCニュース』:「ASEAN諸国、米国を取るか中国を取るかというより急速にインドに傾斜」
世界で最も早い速度で経済成長を続けているとされるASEAN諸国は、超大国の米国を取るか中国を取るかというよりも、むしろ、インドとの連携強化に目が向いているとみられる。
何故なら、中国は相変わらず経済及び軍事力でコントロールしようとしているのに対して、“米国第一主義”を標榜する米国は、予測できない事態が多く、頼りにできないと考え始めているからである。...
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3月16日付米
『CNBCニュース』:「ASEAN諸国、米国を取るか中国を取るかというより急速にインドに傾斜」
世界で最も早い速度で経済成長を続けているとされるASEAN諸国は、超大国の米国を取るか中国を取るかというよりも、むしろ、インドとの連携強化に目が向いているとみられる。
何故なら、中国は相変わらず経済及び軍事力でコントロールしようとしているのに対して、“米国第一主義”を標榜する米国は、予測できない事態が多く、頼りにできないと考え始めているからである。
ASEANの中でも、カンボジアやタイは、中国の推す一帯一路経済圏構想の恩恵が期待できるとして、表立って中国批判をすることはない。
しかし、ベトナム、シンガポールやインドネシアは、南シナ海における中国の傍若無人振りには辟易しており、これに対抗するため、後ろ盾を欲している。
ところが、かつてアジア重点主義を掲げた米国は、トランプ政権になって、米国の利益にならないことには興味を示さないとみられるばかりか、現実問題、トランプ大統領は突然、鉄・アルミニウム製品に高関税を掛けると宣言したり、外交トップのティラーソン国務長官を解任したりと、とても信頼に足るリーダーとはみられない。
また、安倍首相についても、これまでのトランプ大統領べったりの発言・行動より、やはり同様に全幅の信頼は置けないとみられている。
そこでASEANとして期待しているのが、成長著しいインドである。特に、“東方戦略”を掲げるナレンドラ・モディ首相(67歳)に、中国対抗のための後ろ盾になってもらいたいと考えているとみられる。
現に、ベトナムは今月初め、チャン・ダイ・クアン国家主席(61歳)が訪印して、両国間の対中戦略協議を展開し、防衛及び経済協力で合意している。
更にASEANは、3月16~18日のシドニーでの首脳会議を開催する豪州にも期待しているとみられる。
一方、同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「インドネシア、南シナ海での海洋監視強化を提言」
インドネシアのリャミザード・リャクドゥ国防相(67歳)は3月16日、ASEAN諸国に対して、中国の横暴を牽制するため、南シナ海の海洋監視を強化するよう訴えていると表明した。
インドネシアは、南シナ海の領有権争いに直接関わっていないが、同海域南端のナトゥーナ諸島で中国漁師団の違法操業、更には、中国軍艦派遣に手を焼いていると主張している。
同国防相は、特にスールー海(フィリピン南部とインドネシア北部カリマンタン島との間の海)、マラッカ海峡(マレーシアとインドネシア西部スマトラ島間の海峡)、タイ南部の海岸線(シャム湾及びマレーシア・カンボジア・ベトナム海岸線)における監視航行について、関係各国と協力して強化していきたいとしている。
一方、豪州政府の呼び掛けで、3月16~18日の間、シドニーにおいてASEAN・豪州首脳会議が開催される。それに先駆けて、豪州のジュリー・ビショップ外相(61歳)、マリーズ・ペイン国防相(53歳)は3月16日、インドネシアのルトノ・マルスディ外相(55歳)、リャクドゥ国防相と防衛・経済協力について事前協議している。
なお、豪州は南シナ海の領有権問題に直接関わっていないが、ASEAN・豪州首脳会議においては、本件以外に相互経済連携や、中東から同地域に戻ったとされるイスラム過激派によるテロの脅威に協力して対抗していくことが協議される。
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