カリフォルニア州はこれまで、ドナルド・トランプ大統領が宣言したパリ協定(国連気候変動対策条約)脱退に逆らって、気候変動対策に関わる条例を発効させる等、反トランプ色が鮮明の州である。しかし、就任後初めて同大統領が訪問するが、今のところ大規模な反対デモ行進は行わないものの、冷やかな対応をみせる模様である。一方、2016年の大統領選ではラストベルト(注1後記)の中にあってトランプ大統領支持に回ったペンシルベニア州であるが、今週行われる同州小選挙区の下院議員補選では、共和党候補が民主党候補に苦戦を強いられている。万一、民主党が勝利するようだと、11月の中間選挙で、民主党が勢い付く可能性があり、その行方が見逃せない。
3月11日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙:「トランプ大統領がついに反トランプ色の州入り、果たして“抵抗運動”が大々的に繰り広げられるか?」
ドナルド・トランプ大統領就任以降、カリフォルニア州では事ある毎に反トランプのデモ行進等が繰り広げられ、また、フェイスブックやツイッターで多くの非難の声が上げられてきた。
それらは、同大統領によるイスラム教徒排斥、女性蔑視、人種差別に関わる発言、更には、気候変動対策への反対行動などである。...
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3月11日付米
『ロス・アンゼルス・タイムズ』紙:「トランプ大統領がついに反トランプ色の州入り、果たして“抵抗運動”が大々的に繰り広げられるか?」
ドナルド・トランプ大統領就任以降、カリフォルニア州では事ある毎に反トランプのデモ行進等が繰り広げられ、また、フェイスブックやツイッターで多くの非難の声が上げられてきた。
それらは、同大統領によるイスラム教徒排斥、女性蔑視、人種差別に関わる発言、更には、気候変動対策への反対行動などである。
そのせいもあってか、これまで同大統領はカリフォルニア州訪問を避けてきたが、ついに今週来訪することになった。
すなわち、3月13~14日に同州南端のサンディエゴを訪問し、公約である、メキシコ国境に壁を造るための募金活動式典に出席する予定である。
ただ、目下のところ、ロス・アンゼルスで1,000人余りの抗議行動、また、ビバリーヒルズやサンディエゴでも小規模のデモが見込まれているが、昨年実施されたウィメンズマーチ(女性の行進運動、注2後記)ほど広がることはなく、いたって冷やかな対応となるとみられる。
一方、3月12日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AFP通信』配信):「トランプ政権支持率のバロメーターとなる米下院議員補選」
米下院議員の補選が3月13日、ペンシルベニア州の第18小選挙区(ピッツバーグ市南の近郊)で行われる。
2016年の大統領選時、従前の民主党地盤が共和党によって覆された州であるが、同選挙区では、2003年よりティム・マーフィ共和党議員が議席を守ってきた。しかし、同議員が昨年10月下旬に議員辞職して以降空席となっており、今回漸く補選が実施される運びとなった。
ところが、共和党のリック・サッソン候補(60歳)の対抗馬として立候補した、民主党のコナー・ラム候補(33歳)の前評判が非常に高い。年齢も然ることながら、元検察官で米海軍の顧問弁護士の経歴等が強みとなっているとみられる。
専門家によれば、トランプ政権になってからの数々のスキャンダル、重鎮の辞職等が逆風となっていて、2016年時に共和党を支援した有権者が民主党に鞍替えすることもあり得るという。
現在、上院・下院とも共和党が多数を占めているが、1小選挙区とは言え、共和党の牙城が崩されるようだと、11月に控える中間選挙に向けて、俄然民主党に追い風となる可能性が大きい。
従って、全米が3月13日の選挙結果に注目しているところである。
(注)ラストベルト:米国の中西部地域と大西洋岸中部地域の一部に渡る、脱工業化が進んでいる地帯を表現する呼称。インディアナ州、オハイオ州の北部、ミシガン州の南部、ウィスコンシン州のミシガン湖岸、シカゴとイリノイ州北東部、ニューヨーク州北部、ニューヨーク市とニュージャージー州北部、ペンシルベニア州の大半、ウエストバージニア州の北部等が含まれ、多くの製造業が衰退し、長い間不景気が続いてきた。
(注2)ウィメンズマーチ:2017年1月下旬、トランプ大統領就任式直後の週末に全米で繰り広げられたデモ行進。同大統領の女性蔑視発言・移民政策・人種差別等に抗議して、ワシントン特別区での50万人を筆頭に、全米500余りの都市で合計400万人余りが参加。
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