マレーシア北部のイポーの裁判所で、同国のナジブ・ラザク首相を風刺し、ピエロの顔に似せた気味の悪い漫画を描いた芸術家に対し、1カ月の禁錮刑と3万マレーシア・リンギ(約82万円)の罰金刑を科す判決が、20日に言い渡された。
ナジブ首相は現在、自ら設立した投資ファンドを巡るスキャンダルの渦中にある。国営投資企業のワンマレーシア・デベロップメント(1MDB)は、その乱脈経営が問題となり、米国、スイス、シンガポールでのマネーロンダリングにより約45億ドル(約4,815億円)の資金を不正に入手するなどし、首相にも多額の金が流れたと言われている。
風刺漫画を描いたのは、マレーシアのグラフィックデザイナー兼活動家、ファフミ・レザ被告(40)で、ナジブ首相をピエロのように描いたその風刺漫画は、首相への抗議活動が続く中、ネット上で瞬く間に拡散し、抗議活動で使われたり、街中に貼られたりした。...
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ナジブ首相は現在、自ら設立した投資ファンドを巡るスキャンダルの渦中にある。国営投資企業のワンマレーシア・デベロップメント(1MDB)は、その乱脈経営が問題となり、米国、スイス、シンガポールでのマネーロンダリングにより約45億ドル(約4,815億円)の資金を不正に入手するなどし、首相にも多額の金が流れたと言われている。
風刺漫画を描いたのは、マレーシアのグラフィックデザイナー兼活動家、ファフミ・レザ被告(40)で、ナジブ首相をピエロのように描いたその風刺漫画は、首相への抗議活動が続く中、ネット上で瞬く間に拡散し、抗議活動で使われたり、街中に貼られたりした。
同被告は、侮辱的な内容など、不快なコンテンツをネット上で拡散させることを禁じる法律に違反したとして有罪となったが、別の裁判所でも同様の罪状で裁判を受けている。被告の弁護士は、判決にはいかなる根拠もなく失望したとして、上訴する意向を示した。
ファフミ被告は2016年の2月に漫画をフェイスブックに掲載し、まもなく他の活動家や反体制派のリーダーらとともに逮捕された。同被告だけが標的となった芸術家ではなく、ペンネームがズナールという一流の政治風刺漫画家も、ナジブ首相とその妻の漫画を頻繁に描いていたところ、同年に扇動罪で逮捕されている。
ナジブ首相と1MDBは、いかなる犯罪行為についても否定している。政府はネット上の検閲は行わないと以前から約束していたが、両者に批判的な報道をする幾つかのウェブサイトやニュース・メディアのサイトを閉鎖した。
ナジブ氏は9年間首相の座にあるが、8月までに総選挙を実施しなければならない。現在その準備をしており、言論の自由や反対派に対する締め付けを強めていると懸念されている。政府は偽ニュースを撲滅することを狙いとした、厳しい内容の新法の制定を目指しているが、公共の秩序と安全にとって有害と見なされるネット上のコンテンツに対し、公的権力を拡大し、罰則の強化を図るものと考えられている。
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