現在開催中の平昌冬季大会が活況を迎えている。地元韓国はもとより、1998年長野冬季大会に並ぶ、最多10個(金2、銀5、銅3)のメダルを獲得(2月18日現在)した日本も然りである。
卑しい話ながら、そこで気になるのが、メダリストがもらえる報奨金である。
日本オリンピック委員会(JOC)は1992年、日本におけるスポーツの普及発展に特に功績のあったアスリート・団体に、メダル毎に報奨金を授与する「オリンピック特別賞表彰規程」を制定した。それによって、同年のアルベールビル冬季大会の金メダリストに300万円、銀メダリストに200万円、銅メダリストに100万円が贈られた。
そしてJOCは2016年、リオデジャネイロ夏季大会を前に、金メダルの価値を高めるためとして、同メダリストの報奨金のみ500万円に増額している。
従って、フィギュアスケートの羽生選手、スピードスケートの小平選手は、この増額分の報奨金をもらえることになる。
なお、日本スケート連盟は、JOCの規程に倣って同額の報奨金を出すことにしているため、上記両選手の報奨金は倍額の1,000万円となる。
更に、メダリストには、所属企業からのボーナスや、テレビ出演・広告契約・講演活動等による収入も期待できる。
お金が全てではないだろうが、人生の一時期をひとつのことに捧げた労苦はもとより、所属企業や団体が賄えない海外遠征、独自のサポートチーム等にかかる費用負担を考えると、世界第3位の経済大国を代表する選手として、胸を張ってもらってよいものと考える。
ただ、メダリストになれなかった選手についても、引退後の第2の人生まで考えて、もっと支援していく体制が整備されることを願って止まない。
一方、世界をみてみると、メダリストへの報奨金は、かつては東側共産圏の国々が国威発揚の意味もあって、手厚いことが知られていた。しかし、現段階においては、2016年夏季大会時の基準であるが、下記のとおり、新興国、特に金メダリストを出していない国々で、多額の報奨金が用意されている。
① シンガポール:金メダリストに約8,500万円。未だゼロ。過去最高成績は、1960年ローマ大会の重量挙げの銀メダル。
② マレーシア:金メダル 約3,300万円、銀メダル 約1,000万円、銅メダル 約300万円。更に、年金支給。
③ タイ:金メダル 約3,200万円、銀メダル 約1,900万円、銅メダル 約1,300万円。なお、平均年収に比して多額のため、浪費させないよう半額は20年分割払い(年金扱い)。
④ ギリシャ:金メダル 約3,000万円。更に、軍職員などの公務員職に採用、また、広告契約による副収入。
⑤ カザフスタン(中央アジア):金メダル 約2,500万円。
⑥ ラトビア(北欧バルト三国のひとつ、旧ソ連):金メダル 約1,900万円。
⑦ ロシア:金メダル 約1,700万円、銀メダル 約1,000万円、銅メダル 約700万円。更に、企業・スポーツ振興基金からのボーナス、地方自治体からの住宅・車・現金支給。
⑧ イタリア:金メダル 約1,500万円。
⑨ ウクライナ(旧ソ連):金メダル 約1,500万円。更に、住居(アパート)。
⑩ チェコ:金メダル 約750万円。
⑪ フランス:金メダル 約540万円。
⑫ 韓国:金メダル 約540万円、銀メダル 約270万円、銅メダル 約160万円。更に、年金支給。なお、金メダリストは兵役免除。
⑬ 日本:前述どおり。
⑭ スイス:金メダル 約450万円。
⑮ オランダ:金メダル 約400万円。
⑯ 中国:金メダル 約300万円、銀メダル 約230万円、銅メダル 約120万円。更に、スポーツ当局・地方自治体からボーナス支給。
⑰ ポーランド:金メダル 約300万円。
⑱ 米国:金メダル 約270万円。
⑲ ドイツ:金メダル 約240万円。
⑳ カナダ:金メダル220万円、銀メダル 約160万円、銅メダル 約100万円。
なお、ランク外の国は以下のとおり。
・英国:報奨金ゼロ。
・北朝鮮:国の英雄扱い。住宅支給、かつ、朝鮮労働党の職員に採用。
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