オーストリアでは、2015年に国民党と社会民主党の前連立政権下で禁煙法が成立し、今年の5月から施行される予定であったが、昨年末の同国の総選挙後、新たに連立政権に参加した自由党の要求により撤回された。今回の請願は、この動きを受けて、禁煙法の再度の成立を求める同国の医師会から提出されたものである。
請願に賛成する署名の登録は、内務省のウェブサイトで受け付けていたが、反響が非常に大きく、16日にはアクセスが集中してサーバーの負荷が過大となり、2時間ほど登録を止めなければならないほどだった。...
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オーストリアでは、2015年に国民党と社会民主党の前連立政権下で禁煙法が成立し、今年の5月から施行される予定であったが、昨年末の同国の総選挙後、新たに連立政権に参加した自由党の要求により撤回された。今回の請願は、この動きを受けて、禁煙法の再度の成立を求める同国の医師会から提出されたものである。
請願に賛成する署名の登録は、内務省のウェブサイトで受け付けていたが、反響が非常に大きく、16日にはアクセスが集中してサーバーの負荷が過大となり、2時間ほど登録を止めなければならないほどだった。
医師会のトーマス・ゼッカーズ会長は、請願は素晴らしいスタートを切ったとして、「これは重大な投票で、政治家らにこの問題を再度考えさせることになる。我々はさらに圧力をかけ、署名や支持の表明を集めていく。」と語った。
与党の中道右派・国民党を率いるセバスティアン・クルツ首相は非喫煙者であり、同党は総選挙前の前連立政権で禁煙法を支持していた。しかし極右政党・自由党党首のハインツクリスチャン・シュトラッヘ副首相は喫煙者であり、禁煙法は「選択の自由」を侵害するとして撤回を求め、それを選挙の主要公約とするとともに、連立政権への参加条件とした。シュトラッヘ氏は、撤回は非喫煙者、喫煙者、店主のための素晴らしい解決法と説明し、小規模飲食店の存続やその従業員の雇用の維持を訴えていた。
喫煙禁止の取り組みが始まって13年が経過するが、オーストリアは欧州でバーやレストランでの喫煙が今なお許されている残り少ない国の1つだ。喫煙者は原則分離された喫煙席に座らねばならないが、これは必ずしも厳密に守られておらず、50平米以下の小規模な店では、店主が喫煙可とするつもりであれば、分煙の対処は義務付けられていない。
欧州連合(EU)の統計部局であるユーロスタットが公表している統計によれば、オーストリアでは喫煙可能年齢に達した人の30%が喫煙者であり、これはEU加盟国の中で3番目に高い。喫煙に関した死因により死亡するオーストリア人は、年間1万3,000人に上るという。
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