英シンクタンクの国際戦略研究所(IISS)は14日、世界の軍事情勢を詳細に分析した年次報告書「ミリタリーバランス2018」を公表した。同報告書は、中国の空軍力は米国の優位性が揺らぐほど強大なものとなり、海軍力も急速に増強されているとして、その脅威を特に強調する内容となっている。
14日に公開された同報告書は、各国の軍事情勢を分析しているが、特に中国の軍事力の増大とその脅威を強調している。同国は国防予算をGDPの伸びとほぼ同様の6~7%、毎年増加させてきたが、陸海軍の急激な近代化と、空軍の防衛力の進化が際立っているとして、その武器開発の進展と防衛技術の幅広い進化が、同国を世界的な国防力の革新者としており、単に西洋に追いついただけではないと警告した。
同報告書は、中国の空軍力を解説し、先日中国人民解放軍に実戦配備されたことが報道された戦闘機J20を引き合いに出した。...
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14日に公開された同報告書は、各国の軍事情勢を分析しているが、特に中国の軍事力の増大とその脅威を強調している。同国は国防予算をGDPの伸びとほぼ同様の6~7%、毎年増加させてきたが、陸海軍の急激な近代化と、空軍の防衛力の進化が際立っているとして、その武器開発の進展と防衛技術の幅広い進化が、同国を世界的な国防力の革新者としており、単に西洋に追いついただけではないと警告した。
同報告書は、中国の空軍力を解説し、先日中国人民解放軍に実戦配備されたことが報道された戦闘機J20を引き合いに出した。同機はレーダーに探知されにくい最新鋭のステルス戦闘機だが、米国のF35ステルス戦闘機より長距離を飛ぶことができ、太平洋の米国艦隊にとって大きな脅威となるとされている。2020年までに本格的に前線に加わるとして、実戦配備されたステルス戦闘機の米国独占体制が崩れることになると説明している。
報告書は中国がミサイル保有を加速させていることにも触れている。PL15長距離空対空ミサイルは、アクティブ電子走査アレー・レーダーを備えていると言われており、それはほんの一握りの国しか空対空ミサイルに導入していない進んだ技術である。PL15は今年中に実戦配備される可能性があるが、これまで30年間にわたり米国とその同盟国が享受してきた空軍力の優位性はもはや保障されるものではないとしている。
中国はまた、海軍力についても同様の野望を持っていると、さらに報告書は指摘する。2000年以来、中国は潜水艦、駆逐艦、護衛艦などの軍艦を多く建造しており、その数は日本・韓国・インドを合わせた以上に上っている。この4年間に中国が建造した新たな艦船の総トン数だけで、フランス海軍の全体の総トン数を上回るという。
中国は急速に海軍力を増強させて世界の軍事強国となりつつある、そしてアフリカ東部のジブチに初の恒久的な海軍基地を建設したことにより、さらに海軍力を展開することができるだろうと報告書は述べている。
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