米国防総省は12日、今年の10月から始まる2019会計年度の国防予算案を発表した。基本予算は前年比約7%増の6,170億ドル(約67兆2,500億円)で、先月公表した国家防衛戦略の中で「戦略的競合国」と位置付けた中国とロシアに対抗する姿勢を明確にした。
12日に公表された国防予算案は、1月にマティス国防長官が発表した国家防衛戦略の中で指摘された、中国とロシアの脅威の高まりを強く意識したものとなっており、予算案の説明文書では「中国とロシアに関し、低下した米軍の優位性を取り戻す」ことが特に強調されている。
マティス国防長官は記者団に対し、予算案を策定するにあたっては、常に国家安全保障戦略と国家防衛戦略を一体化して手引きとしているので、長期的な見地から策定が行われていると説明した。...
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12日に公表された国防予算案は、1月にマティス国防長官が発表した国家防衛戦略の中で指摘された、中国とロシアの脅威の高まりを強く意識したものとなっており、予算案の説明文書では「中国とロシアに関し、低下した米軍の優位性を取り戻す」ことが特に強調されている。
マティス国防長官は記者団に対し、予算案を策定するにあたっては、常に国家安全保障戦略と国家防衛戦略を一体化して手引きとしているので、長期的な見地から策定が行われていると説明した。
予算案は連邦予算を管理する議会の承認を必要とするが、要求ベースで総額7,160億ドル(約78兆円)の内訳は、日々の軍事的活動や武器の購入に充てる前述の基本予算6,170億ドルの他、アフガニスタンでの戦争やIS(イスラム国)掃討作戦などの国外戦費690億ドル、核兵器の維持管理などを行うエネルギー省他の部門で費消される300億ドルとなっている。
国防費は2万5,900人の兵士、船員、航空機のための要員などの増員、F35などの戦闘機や爆弾・ミサイルの購入などに優先して充てられる。
戦闘機については、2019年度は77機のF35に107億ドル(前年度は70機)、24機のF18に20億ドル(前年度は14機)の費消を予定している。アフガニスタンやIS関連の戦いで武器在庫が縮小しており、これを補うために11億ドルを4万3,000基の誘導爆弾などの購入に充てる(前年度より9,000基増)。米国をミサイル攻撃から守る役割を担っているミサイル防衛局の予算案は99億ドルで、前年度の78億ドルから大幅に増加した。
エネルギー省傘下の国家核安全保障局の予算案が150億9,000万ドルで、前年度から約12億ドルの増加となっているが、エネルギー省は、米国の核兵器の近代化や増強のために必要な費用としている。トランプ政権は、これまでより小型の核兵器を増強するよう、核戦略の見直しを行っている。
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