【Globali】
米「核態勢の見直し」公表、中露イランは強く反発(2018/02/05)
トランプ政権が2日に公表した核政策の指針「核態勢の見直し」(NPR)は、これまでの核軍縮の方針を変更し、中露の核戦力の増大や北朝鮮の核・ミサイル開発など、安全保障を巡る情勢が大きく変化したとの認識の下で、核弾頭の小型化や核巡行ミサイルの開発など、多様な核戦力の必要性を訴えたものである。これに対し、中露やイランはすぐに反発し、失望感を表すなど、強く反対の意を表明した。
「核態勢の見直し」(NPR)は、米国の新政権が誕生する際に策定されてきたが、トランプ政権下での核戦略目標の概要を説明している。策定はオバマ前政権時代の2010年以来であり、今後の核の脅威をどのように予測するかを示している。ロシアの欧州への限定された核攻撃であっても、大きな代償を伴うものとなることを警告するなど、中露や北朝鮮、イランを差し迫った脅威として名指ししている。
そうした脅威に対抗するためは、比較的小型の核兵器を展開することにより、効果的な抑止力が得られるとして、潜水艦発射型の弾道ミサイルに搭載する核弾頭を小型のものとしたり、長期的には、海洋発射型の核巡行ミサイルを開発したりするなど、核戦力を多様化して柔軟に対応する方針を展開している。...
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「核態勢の見直し」(NPR)は、米国の新政権が誕生する際に策定されてきたが、トランプ政権下での核戦略目標の概要を説明している。策定はオバマ前政権時代の2010年以来であり、今後の核の脅威をどのように予測するかを示している。ロシアの欧州への限定された核攻撃であっても、大きな代償を伴うものとなることを警告するなど、中露や北朝鮮、イランを差し迫った脅威として名指ししている。
そうした脅威に対抗するためは、比較的小型の核兵器を展開することにより、効果的な抑止力が得られるとして、潜水艦発射型の弾道ミサイルに搭載する核弾頭を小型のものとしたり、長期的には、海洋発射型の核巡行ミサイルを開発したりするなど、核戦力を多様化して柔軟に対応する方針を展開している。
特にロシアの動きに注目しているのは、国防総省の政策が、IS(イスラム国)掃討作戦から、中露などの大国との競合態勢にその軸足を移しつつあることと符合する。ロシア外務省は3日、米国のNPRはロシアについて誤った主張を展開し、「反ロシア的」で深く失望したとの声明を発表した。一方、米国とは建設的に協調していく用意があるとも述べた。
中国国防部は4日、米国のNPRについて、中国の核の脅威を誇張して伝えており、「冷戦思考」であるため断固反対するとするとの報道官談話を発表した。中国の軍事力は防衛のためであり、核戦力も安全保障に要求される「最低水準」のものと反論している。「我々は米国が冷戦思考を捨てて軍縮の責任を果たし、中国の戦略的意図を正しく理解し、中国の国防・軍事力の強化を客観的に見るよう希望する。」と談話は述べている。
イランのザリーフ外相もツイッターで批判し、「NPRは核拡散防止条約(NPT)に違反し、核兵器に大きく依存するものであり、人類を絶滅に追い込むものだ。『終末時計』が1953年以来最も進んだのも不思議ではない。イラン核合意(JCPOA)を潰そうとするトランプの偏執ぶりは、同じ危険な無分別さから生じているものだ。」と警告した。
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