この件について最初に伝えたのはインターネットメディア「アクシオス(Axios)」で、米国内における中国による通信傍受の脅威に対抗するために最新で超高速の第5世代通信網を独自に構築することを検討していると報じた。同社が極秘に入手した政府高官のメモによると、複数の選択肢が検討されているとし、「中国は5Gの技術をけん引して、オンライン上の悪意ある行為を支配している。米国も早急に導入すべきだ。」と書かれていたという。
報道後、サラ・サンダース大統領報道官はあくまで安全なネットワークの確保を検討しており、協議はまだ初期段階だと説明し、決定していることは何もないと述べた。
ただこの計画の発表はこれまで民間の通信網を頼ってきた政策に反するものであると、通信業界や政府内でも反発が相次いでいる。米連邦通信委員会(FCC)のアジット・パイ委員長は「国営の5G通信網構築に乗り出せば、費用がかさむだけでなく、米国にとって5Gの未来を勝ち取るための政策に逆効果になる。」との声明を出した。
業界内では携帯電話会社がすでに5Gの開発に着手しているという。また、業界団体も政府の計画を阻止するため「競争の激しい市場こそが5G網で米国がリードする確実な方法だ。」との見解を示した。またUSテレコムのジョナサン・スパルター会長は国策で取り組めば、5Gの導入に急ブレーキをかけてしまうことになると懸念している。
5Gはますます増加するウェブアクセス量に対応するため、より高速なデータ速度と多くの帯域幅を提供することを目指している。今後、電化製品や車の自動運転システムなど様々な装置にとって重要になるとみられている。
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