ドイツ赤十字社は23日、第2次世界大戦中に行方がわからなくなった人々の捜索を2023年で打ち切ることを発表した。行方不明者は120万人に上っており、それらの人々の安否は今なお判っていない。
独赤十字社の追跡調査活動を統括するトーマス・フーバー氏によれば、赤十字と同国内務省は、戦争終了後78年が経過する今から5年後の2023年に、消息を絶った人々に何が起きたかを究明する活動を打ち切ることで一致したという。
フーバー氏は、「行方不明者の究極的な運命に光を当てることができない。」として、これ以上の安否確認は困難であると現地メディアに説明した。独内務省も23日、消息が判明し、生存者を発見できるケースが年を追う毎に減ったと記者発表で明らかにしている。...
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独赤十字社の追跡調査活動を統括するトーマス・フーバー氏によれば、赤十字と同国内務省は、戦争終了後78年が経過する今から5年後の2023年に、消息を絶った人々に何が起きたかを究明する活動を打ち切ることで一致したという。
フーバー氏は、「行方不明者の究極的な運命に光を当てることができない。」として、これ以上の安否確認は困難であると現地メディアに説明した。独内務省も23日、消息が判明し、生存者を発見できるケースが年を追う毎に減ったと記者発表で明らかにしている。
戦後まもなく追跡調査が始まった際には、赤十字は2,000万人以上の人々を捜索することを任務としていた。行方不明者の多くは戦死したか捕虜となった兵士だったが、多くの一般市民もまた、戦争の混乱に巻き込まれて消息がわからなくなった。1959年の時点でも、赤十字はなお200万人以上の捜索を続けていた。
調査員らは、行方不明となった人々の安否について、第2次世界大戦中の公文書や、旧ソ連と旧東ドイツによって残された記録を徹底的に調べた結果、その40%に対する回答を見つけ出すことができた。
長い年月の間に次第に世間の関心が薄れてきた面もあるが、赤十字はその後も懸命に活動を続け、2010年には追跡調査によって、60年間生き別れだった2人の兄弟を再会させている。「そのようなケースはとても感動的だ。」とフーバー氏は言う。赤十字は2016年にも、1939年~1945年の戦時中に行方不明となった家族に関する情報を求める人々から、約9,000件の追跡調査の依頼を受けたという。フーバー氏は「多くの人々にとって、この期間は家系図上、空白のままだ。」と述べた。
独赤十字社はまた、最近行方不明となった人々の捜索活動も行っている。ドイツに親類がいると思われる人、独当局が親類の行方に関する情報を持っていると思われる人が対象だ。2016年にはアフガニスタン、シリア、ソマリアなどの国々からそうした依頼が多く寄せられた。
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