米アマゾン社は、先端技術を駆使した支払いレジのないスーパーマーケットを一般向けにオープンする。昨年まで同社は試験的に社員向けの店を開店し研究を重ねてきた。店内のカメラやセンサーで商品を一括管理し、アプリに登録した客の仮想の“買い物かご”に自動的に商品を出し入れして、そのまま商品を持ち帰ってもらい、クレジットカードで支払い請求するという仕組み。今後このような技術が多岐に渡りに広まっていくと予測される。
1月22日付
『ロイター通信』は「アマゾンの未来型自動スーパーが月曜日オープン」との見出しで以下のように報道している。
アマゾンは一年以上研究を重ねたきた、レジでのチェック機能がないスーパーを一般向けに開店する。店舗の有り方を画期的に変える実証に期待が寄せられている。
「アマゾンGO」というこのスーパーでは、カメラやセンサーで買い物客が棚から商品を取ったり、戻したりする動作を認識。...
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1月22日付
『ロイター通信』は「アマゾンの未来型自動スーパーが月曜日オープン」との見出しで以下のように報道している。
アマゾンは一年以上研究を重ねたきた、レジでのチェック機能がないスーパーを一般向けに開店する。店舗の有り方を画期的に変える実証に期待が寄せられている。
「アマゾンGO」というこのスーパーでは、カメラやセンサーで買い物客が棚から商品を取ったり、戻したりする動作を認識。支払レジは無く、店を出た後にクレジットカードで請求される仕組み。
167平方メートルのスーパーはアマゾンの自社ビルの中にあり、買い物客はアマゾンGOのスマートフォンアプリをスキャンし、入店ゲート(自動改札機)をすり抜ける。入ってすぐのコーナーには調理済みの総菜類。店の奥には数は少ないが精肉を含む生鮮食品があり、ワインやビールなどはアマゾンの従業員がIDをチェックする。
店内上部にはカメラがあり、棚には重量センサーが入っている。もし商品を持ってゲートを抜けれる客がいたら、その同行者が課金される仕組み。棚に商品を戻せば、バーチャルカートから商品が外される。
長蛇の列は買い物客の邪魔になり、待ち時間をなくせる点で利点がある。ほぼ同じに見える飲み物のクリームの脂肪分の違いも機械は読み取るほど性能が良いという。客にとっての違いは、レジのあるなしのみと言えよう。値引きで知られるアマゾンだが、価格は通常のスーパーと同じくらいだという。
アマゾンは2016年12月試験的に社員向けのスーパーを始めた。当時は2017年初頭の一般向けスーパーの開店を目指していたが研究が難航。身体的特徴が似ている複数の買い物客の認識機能など改善点が多々あったという。
また入店した子どもたちが商品を間違った場所に動かしてしまうなど思わぬ混乱もあった。同社は昨年ホールフーズ・マーケットを137億ドルで買収。
1月21日付米国『ニューヨークタイムズ』は「未来型店舗、アマゾンGoの中の様子」との見出しで以下のように報道している。
シアトル中心部に月曜登場するアマゾンの新しいコンビニのテクノロジーを紹介。
まず地下鉄の駅のようなゲートを抜け入店。スマートフォンのアプリのある人しか入れない。普通のコンビニにあるような商品が並ぶが加えてアマゾン傘下のホールフーズの食品もある。レジやレジ係がいない。客はクレジットカードを出すために立ち止まる必要がなく、入店したのと同じゲートを抜けて帰る。客のアマゾンアカウントから持ち出した商品の分を自動的に課金される。
店内にカートや買い物かごは店内にはなく、買い物袋に直接つめて買い物をする。天井には小型カメラが並んでおり、棚から商品を手に取ると、自動的にオンラインのショッピングカートに追加される。また、棚に戻すと、削除される。その自動機能についてアマゾン社は詳細を明かしていないが、高度なコンピュータカメラや学習機能付きソフトが使用されているという。つまり、全商品に特殊チップを埋め込むような仕組みでなく、店舗内の全商品をテクノロジーで一括管理している様なものである。
2016年当時、全米には350万人以上のレジ係がいたが、アマゾンGoの様な店舗が増えると、IT普及で仕事淘汰の危機にある。技術の進歩で、従業員の働き方が変わる。同コンビニでは店舗従業員は、商品の棚だし、商品を探す客の手助け、技術的トラブル解決をしたり、実演販売もある。レジ係はいないが、アルコールのコーナーには人がいて、客のIDをチェックしている。
アマゾンGoでの買い物は、万引きしているように感じるかもれない。店を出て数分経ってからやっと電子レシートが送られてくる仕組みなのだが、本当の万引きはこの店では容易でないようだ。カメラから見えないように買いもの袋に商品をくるんで隠して店を出ても、きちんと請求が来てしまう。
この技術をアマゾンはどう活用しようとしているのか。店舗拡大の予定はないようだが、ホールフーズの店舗でこの技術を活用する可能性は少なからずあるだろう。
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