【Globali】
欧州、パーム油の燃料利用を禁止へ(2018/01/18)
アブラヤシの実から採れる植物油、パーム油は、多くの食品に「植物油脂」や「ショートニング」という原材料名で使われている。食品以外にも石鹸や化粧品など、幅広い用途で使用されている。欧州では、輸入しているパーム油の内、5割程度が主に自動車燃料として利用されてきた。しかし、去年4月に、森林破壊抑制のため、パーム油など植物油を自動車燃料などの燃料利用することを段階的に廃止すべきとの決議を行った。そしてこの1月17日水曜日には、法制化に向けた採決が行われた。今後3年間で段階的に廃止されることが決定された。
パーム油は、気候変動対策の一環としてのグリーンエネルギーと見なすことができる一方、森林減少の要因とされており、それに伴う温室効果ガス排出量も問題視されている。パーム油のCO2排出係数はその他のどの原材料よりも高く、石炭や化石燃料よりも高いという報告が出ている。今回の決定は環境保護活動家からの歓迎を受けている。
反面、世界の2大パーム油生産国であるインドネシアとマレーシアは、パーム油農家の人々の生計を脅かす可能性があると指摘し、反発している。...
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パーム油は、気候変動対策の一環としてのグリーンエネルギーと見なすことができる一方、森林減少の要因とされており、それに伴う温室効果ガス排出量も問題視されている。パーム油のCO2排出係数はその他のどの原材料よりも高く、石炭や化石燃料よりも高いという報告が出ている。今回の決定は環境保護活動家からの歓迎を受けている。
反面、世界の2大パーム油生産国であるインドネシアとマレーシアは、パーム油農家の人々の生計を脅かす可能性があると指摘し、反発している。マレーシアでは、欧州議会で採決が行われる前日に、数百のパーム油農家の人々が、首都クアラルンプールで抗議デモを行った。マレーシアのパーム油協会によると、この植物油の禁止は、65万の生産者とその業界から生きるマレーシア人320万人を脅かすと言う。小規模農家協会会長のアリアサク・アンビア(Aliasak Ambia)氏曰く、「小規模農家は、食品を購入し、子供たちを学校に通学させるためにパーム油の収入に依存している。私たちは、何十年もの間、アブラヤシを栽培してきた。それが発展をもたらした。パーム油のおかげで国が豊になった」。
マレーシアのナジブ・ラザク首相とインドネシアのジョコ・ウィドド大統領は、他の植物油の生産も森林減少に寄与しているにもかかわらず、パーム油だけを禁止する今回の動きを差別的だと述べている。
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