新幹線に代表される高速鉄道は、日本・欧州・中国で飛躍的発展をみている。それを踏まえて、他の国々でも新規高速鉄道建設計画が取り沙汰されている。具体的には、英国(ロンドン~マンチェスター~リーズ)、インドネシア(ジャカルタ~スラバヤ)、マレーシア~シンガポール、インド(アーメダバード~ムンバイ)、タイ(チェンマイ~バンコク)、ベトナム(ハノイ~ホーチミンシティ)等である。米国においても例外ではなく、東海岸・西海岸でそれぞれ実際にプロジェクトが進行中である。そしてこの程、西海岸で進められているカリフォルニア高速鉄道プロジェクト(注後記)において、鉄道敷設ルートの土地買収等で思惑違いが発生し、当初見積りより35%、28億ドル(約3,110億円)もコスト増となることが判明した。なお、同建設計画の今回対象となったデザイン・運行事業には、JR東海を中心とした日本グループは参画していない。
1月16日付
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「カリフォルニア高速鉄道プロジェクト、コストが28億ドルも増加」
カリフォルニア高速鉄道プロジェクト推進母体のカリフォルニア州高速鉄道局(CHSRA)は1月16日、第1期工事の進捗報告で、当初見積りより35%、28億ドル増の106億ドル(約1兆1,770億円)になることを明らかにした。
第1期工事はセントラルバレー(同州中央部のサクラメント~サンフランシスコ~フレズノ~ベーカーズフィールド地区)の119マイル(約191キロメーター)のもので、主として鉄道敷設ルート上の土地買収費用等が予想以上にかかってしまったためだとする。...
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1月16日付
『ABCニュース』(
『AP通信』配信):「カリフォルニア高速鉄道プロジェクト、コストが28億ドルも増加」
カリフォルニア高速鉄道プロジェクト推進母体のカリフォルニア州高速鉄道局(CHSRA)は1月16日、第1期工事の進捗報告で、当初見積りより35%、28億ドル増の106億ドル(約1兆1,770億円)になることを明らかにした。
第1期工事はセントラルバレー(同州中央部のサクラメント~サンフランシスコ~フレズノ~ベーカーズフィールド地区)の119マイル(約191キロメーター)のもので、主として鉄道敷設ルート上の土地買収費用等が予想以上にかかってしまったためだとする。
2008年に州民投票で決定された際の建設コストは400億ドル(約4兆4,400億円)と見積もられていたが、このままいくと、総コストは670億ドル(約7兆4,370億円)に膨らむ可能性がある。
土地買収費用が嵩んでしまった背景には、連邦政府からの補助金25億ドル(約2,780億円)を昨年秋までに支出する必要があったため、全線の土地買収交渉がまとまる前に工事を始めてしまったためと考えられる。
これについてCHSRAのダン・リチャード局長は、今後とも費用削減に努めていくと釈明している。
なお、今回のプロジェクトは、環境に優しく、また、有益な輸送手段だとして、現知事のジェリー・ブラウン氏(79歳、民主党員、2010年11月選挙で当選し、2011年1月より現職で、任期は2019年1月まで)の肝いりで取進められている。
しかし、リチャード局長は、2018年11月の知事選(連邦議員その他の公職を選ぶ中間選挙)で選出される新知事が、本プロジェクトの資金繰りや完成時期等について、抜本的に見直すことになることは了解しているとした。
一方、それ以前にCHSRAは、総建設コスト、完工見込み、また年間利用客数による収益見通し等について、今春までに議会宛に報告することが求められている。
(注)カリフォルニア高速鉄道プロジェクト:2008年11月にカリフォルニア州の州民投票で決定された、サンフランシスコ~ロスアンゼルス~サンディエゴ間約1,250キロメーターを高速鉄道で結ぶ計画。推進母体はCHSRAで、第1期でサンフランシスコ~ロスアンゼルス~アナハイム800キロメーターを2025年開業目標、また、第2期のロスアンゼルス~サンディエゴ270キロメーター、サクラメント~マーロド180キロメーターを2029年開業目標で取進め中。
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