米中両国は、北朝鮮問題に対する制裁強化などの対応・情報共有については、可能な限り協力し合おうとしている。しかし、貿易不均衡や人権問題について話は別で、米国はこの程、中国人人権活動家が逮捕・拘留された後に獄死した事件を重要視し、死亡に関与したとされる北京警察署の元警官(中国では人民警察=民警と呼称)に対し、経済制裁を科すことを決定した。この措置に対して中国は、自国の理論で他国の干渉は許さないとして、当然のことながら猛反発している。
12月22日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「中国政府、米政府による中国人民警の暴行疑惑を理由にした経済制裁に猛反発」
中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は12月22日、北京警察署の元民警、高焉(ガオ・ヤン、54歳)氏が人権活動家の獄死に関与したとの理由で、同氏に対する経済制裁措置を決定したことに猛烈に抗議した。
米財務省は今週(12月18日の週)、グローバル・マグニッキー法(注後記)に基づき、世界中の52の個人及び団体を人権侵害者と認定したが、その中に高氏も含まれていた。...
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12月22日付米
『ボイス・オブ・アメリカ』(
『AP通信』配信):「中国政府、米政府による中国人民警の暴行疑惑を理由にした経済制裁に猛反発」
中国外交部(省に相当)の華春瑩(ホァ・チュンイン)報道官は12月22日、北京警察署の元民警、高焉(ガオ・ヤン、54歳)氏が人権活動家の獄死に関与したとの理由で、同氏に対する経済制裁措置を決定したことに猛烈に抗議した。
米財務省は今週(12月18日の週)、グローバル・マグニッキー法(注後記)に基づき、世界中の52の個人及び団体を人権侵害者と認定したが、その中に高氏も含まれていた。
米政府発表によると、高氏は2014年に北京署に勤務していた際、逮捕・拘留中の人権活動家の曹順利(サオ・シュンリ、56歳)氏の治療要請を却下し、その結果同氏を拘留6ヵ月後に死亡させたという。曹氏の遺体には暴行の痕跡が認められたとする。
なお、高氏は現在、北京警察学校の校長である。
同日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『ロイター通信』配信):「中国、米国が中国人役人を経済制裁対象としたことに対して、勝手に“人権判事”を名乗るなと抗議」
トランプ政権が12月20日、中国人役人を経済制裁対象としたことに対して、中国政府は12月22日、中国の内政干渉をして勝手に“人権裁判所”を名乗るなと抗議した。
中国外交部の華報道官は、米国は中国の人権に関わる政策を歪んだ目で見て、他国の人権問題を米国内法で裁こうとしていると非難した。
一方、香港を本拠とする中国人権擁護グループは、高氏のような小物ではなく、中国公安部の傅政華(フー・チェンホァ)副部長(62歳、次官に相当)こそ罰する対象にすべきだと表明した。
(注)グローバル・マグニッキー法:正式には、グローバル・マグニッキー人権責任法で2016年に制定。世界中において、汚職や人権侵害を犯したと認定された場合、対象の個人や企業・団体等の米国での銀行口座が凍結されるほか、米国に滞在する配偶者や子供も制裁の対象になる。
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