トランプ米大統領は18日、外交と安全保障の包括的な指針となる「国家安全保障戦略」を明らかにした。米国の国家戦略の公表は、オバマ前政権時代の2015年以来となり、トランプ政権としては初めてのものとなる。
戦略には、大統領の米国本土と国境を守るための「米国第一主義」の考え方が反映されており、「国土の防衛」「米国の繁栄促進」「力による平和の維持」「米国の影響力の強化」の4つの柱によって構成されている。そして軍を再構築し、海外に展開する戦力を見積もり、米国により有利な通商政策を追求するものとなっている。
トランプ大統領は発表にあたっての演説で、「米国は戦いに参加し、勝利する。」と大統領選挙期間中と同様に宣言し、過去の大統領が米国民の期待に応えてこなかったことを批判した。...
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戦略には、大統領の米国本土と国境を守るための「米国第一主義」の考え方が反映されており、「国土の防衛」「米国の繁栄促進」「力による平和の維持」「米国の影響力の強化」の4つの柱によって構成されている。そして軍を再構築し、海外に展開する戦力を見積もり、米国により有利な通商政策を追求するものとなっている。
トランプ大統領は発表にあたっての演説で、「米国は戦いに参加し、勝利する。」と大統領選挙期間中と同様に宣言し、過去の大統領が米国民の期待に応えてこなかったことを批判した。大統領は多くの公約に触れながら、就任以来、強い米国経済、TPPや地球温暖化に関するパリ協定からの離脱といった実績を強調し、「米国は復活し、再び強くなる。」と述べた。
トランプ大統領は、国土防衛の重要性について触れ、メキシコ国境との壁の建設を挙げて移民政策の強化の必要性を訴えた。また戦略では、米国の経済の安定が国家の安全保障に繋がることを強調しており、大統領は、「不公正な貿易慣行や知的所有権の侵害に対する断固たる措置」が必要であると指摘した。
戦略はさらに、北朝鮮やイランのような国家を「ならず者の体制」として、中国とロシアについては、北朝鮮やシリアの問題などでは協力していくとしながらも、米国の力、影響力、利益に異議を唱え、その安全保障と繁栄を侵そうとする競争相手として位置付けた。
そしてイスラム過激派のテロリストや国際的な犯罪組織とともに、こうした脅威に対応するため、軍事力の強化や同盟国との連携の強化を図ることとしている。また、エルサレムをイスラルの首都と宣言したことにより、国際的な非難を受けているが、中東での米国の利益を促進する機会についても触れられている。
オバマ前政権の国家戦略では、気候変動を「国家安全保障に対する緊急かつ増大する脅威」と宣言していたが、トランプ政権の戦略にはそうした表現はなく、環境・エネルギー政策の重要性を認識していることのみが書かれている。
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