スウェーデンのストックホルム国際平和研究所(SIPRI)は11日、2016年の世界の軍事関連企業上位100社(除く中国)の売り上げが、前年対比で6年ぶりに増加したことを発表した。
SIPRIの報告書によれば、2016年の中国を除く世界の軍事関連企業上位100社の売り上げは、2015年から1.9%増加し、3,748億ドル(約42兆6千億円)となった。SIPRIが統計を取り始めた2002年からは38%増加している。2015年までの5年間は前年対比で減少を続けてきたが、2016年は6年ぶりに増加に転じた。地政学的な緊張の高まりにより、各国で国防費の支出が増えたことによるものであるとしている。...
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SIPRIの報告書によれば、2016年の中国を除く世界の軍事関連企業上位100社の売り上げは、2015年から1.9%増加し、3,748億ドル(約42兆6千億円)となった。SIPRIが統計を取り始めた2002年からは38%増加している。2015年までの5年間は前年対比で減少を続けてきたが、2016年は6年ぶりに増加に転じた。地政学的な緊張の高まりにより、各国で国防費の支出が増えたことによるものであるとしている。
米国企業は2016年、首位の座を維持し、4%売り上げを伸ばして2,172億ドル(約24兆7千億円)となり、6年ぶりの増加となった。それは世界の総売上高の58%を占めている。ロッキード・マーティン社は、2009年以来世界最大の武器製造業者であり、F-35戦闘機の配備の増加やヘリコプター製造会社のシコルスキーの買収等により、2016年の売り上げが11%伸びた。トランプ大統領は、国防費を増加させ、米国の核兵器を刷新したいと考えているため、SIPRIでは、米国企業の売り上げの伸びは今後も続くと予測している。
ロシア企業の売り上げは3.8%増加し、266億ドル(約3兆円)となったが、最近では伸び率が低い年であった。プーチン大統領は軍事力整備のための支出を増やし、軍の近代化を図ってきたが、緊縮財政により、最近では軍備調達を先送りしている。SIPRIは「金の問題である。石油やガスの価格が下落しており、打撃を受けている。」と説明した。
韓国企業は、同国の軍隊に装備の供給を進めており、2016年には20.6%も売り上げが増加し、84億ドル(約9,550億円)となった。軍備支出の増大は、北朝鮮の核ミサイル開発の脅威を反映したものである。
南シナ海諸島をめぐる対立等の地域紛争も、武器の売り上げが伸びる主要な原因の1つとSIPRIは指摘する。南シナ海は重要な海路であり、石油やガスが多く埋蔵されているため、中国、台湾、ベトナム、フィリピン、マレーシア、ブルネイ等の多くの国が島の領有権を主張している。中国が砂州を島にして飛行場や港を作り、武器システムを配備して、米国の艦船や航空機に近づかないよう警告した2014年以来、緊張が高まった。ベトナム他の国々は、中国の主張に対抗し、潜水艦や軍事パトロール用の航空機を発注している。
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