米連邦最高裁は、トランプ政権に入国禁止令を完全に施行することを認めたものの、これは連邦控訴裁判所等で争われている間の措置であり、最高裁も最終的には、その法的有効性を判断することになる。
9月に発表された最新の大統領令は、チャド、イラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメンのイスラム圏6カ国と北朝鮮、ベネズエラからの入国を禁じている。イスラム圏6カ国からの入国を禁じる措置については、10月にハワイ連邦地裁等が施行の阻止を決定していたが、連邦最高裁の判断はこの決定の差し止めを命じたものである。...
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米連邦最高裁は、トランプ政権に入国禁止令を完全に施行することを認めたものの、これは連邦控訴裁判所等で争われている間の措置であり、最高裁も最終的には、その法的有効性を判断することになる。
9月に発表された最新の大統領令は、チャド、イラン、リビア、ソマリア、シリア、イエメンのイスラム圏6カ国と北朝鮮、ベネズエラからの入国を禁じている。イスラム圏6カ国からの入国を禁じる措置については、10月にハワイ連邦地裁等が施行の阻止を決定していたが、連邦最高裁の判断はこの決定の差し止めを命じたものである。
今回の最高裁判断では、1月にトランプ政権が事前の予告なしに実施した最初の禁止令により、各地の空港で大きな混乱が生じたが、9月の新たな措置では、そうした混乱が起きる可能性は少ないとした。9人中2人のリベラル派判事だけが反対意見を表明している。
セッションズ司法長官は、その声明の中で、最高裁の決定は「米国民の安全のための重要な勝利」であるとして、裁判官の大多数が「我が国の安全保障を守る大統領の合法的な宣言を完全に執行することを認めた」と評価した。
禁止令に反対する人たちは、それがイスラム教徒に対する偏見を示したものであり、同教徒への差別が憲法違反になると批判する。「トランプ大統領のイスラム教徒への偏見は明らかだ。反イスラムの主張をする英極右勢力のビデオを掲載した先週のツイート等により、繰り返し表現している。当面の完全な禁止令の施行は遺憾であり、最高裁のこの命令は、我々の主張の意義をとらえていない。」と全米市民自由連合(ACLU)の移民権利プロジェクトのディレクターを務めるオマール・ジャドワット弁護士は話している。
現在の禁止令は3つ目のもので、カリフォルニア州サンフランシスコの第9巡回控訴裁判所、バージニア州リッチモンドの第4巡回控訴裁判所で争われているが、今週両裁判所でその合法性についての審議が行われる。両裁判所とも入国禁止令に関する判断を早めに出すこととしており、これにより連邦最高裁は、来年6月末までには最終判断を下すであろうと言われている。
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