米国の国連代表部は2日、国連の「移民に関するグローバル・コンパクト」が、トランプ政権の移民・難民に対する政策と矛盾するとして、アントニオ・グテーレス事務総長に対し、その策定への参加を終了することを通知したと明らかにした。
国連のグローバル・コンパクトは、1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でアナン前事務総長が提唱し、2000年に正式に創設された、世界経済の持続的な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組みであり、国連は世界各国の企業や団体に参加を求めている。
2016年9月の国連総会で、加盟国193カ国は、難民の権利を擁護し、再定住のための支援を行い、教育や就業の機会を確保すること等を謳った、拘束力のない政治的宣言である「難民と移民のためのニューヨーク宣言」を満場一致で採択している。...
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国連のグローバル・コンパクトは、1999年の世界経済フォーラム(ダボス会議)でアナン前事務総長が提唱し、2000年に正式に創設された、世界経済の持続的な成長を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組みであり、国連は世界各国の企業や団体に参加を求めている。
2016年9月の国連総会で、加盟国193カ国は、難民の権利を擁護し、再定住のための支援を行い、教育や就業の機会を確保すること等を謳った、拘束力のない政治的宣言である「難民と移民のためのニューヨーク宣言」を満場一致で採択している。国連は、本宣言に基づき、2018年に移民や難民の待遇改善に関する国際的な合意となる「移民に関するグローバル・コンパクト」を策定することを目指している。
しかし米国連代表部の声明では、「ニューヨーク宣言は、米国の移民・難民政策やトランプ政権の移民の原則と矛盾する多くの条項を含んでいる。その結果トランプ大統領は、グローバル・コンパクトの策定過程への参加を終了させることを決定した。」という。今回の決定にあたっては、スティーブン・ミラー大統領上級顧問の考えが大きく影響し、ジョン・ケリー大統領首席補佐官やジェフ・セッションズ司法長官も強くこれを支持したとされている。国務省は当初反対していたが、最終的には大統領が押し切った。
ニッキー・ヘイリー米国連大使は、同国は世界中の移民と難民を支援する寛容さを引き続き維持するが、「移民政策に関する我が国の決定は、常に米国人によって、そして米国人だけでなされなければならない。」として、「我々は、国境をどのように管理するのが最も良いか、我が国に誰が入国を許されるかを決定する。ニューヨーク宣言のグローバルな取り組みは、米国の主権と単純には共存するものではない。」と説明した。
トランプ大統領とその「米国第一主義」の政策の下で、米国は、気候変動に関するパリ協定など、オバマ政権の下で行われたいくつかのグローバルな約束を撤回している。最近では、パリに本部を置く、国連の文化教育に関する専門機関であるユネスコが、反イスラエルの立場を取り、偏向していると非難して、同機関から脱退した。
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