ドナルド・トランプ大統領は、米国第一主義政策の下、気候変動対策に関わる国際的取り決めであるパリ協定からの離脱を宣言している。このことから、同協定成立に漕ぎ着けるため最善を尽くしたフランス・中国からの評判は良くない。そこで、主要国からの対米国批判を和らげるためか、バラク・オバマ前大統領が、トランプ大統領のアジア初歴訪後間もないこの時期に、中国・インド・フランスを訪問することになった。
11月28日付米
『CNNニュース』:「オバマ前大統領、習国家主席との会談含めて中印仏3ヵ国訪問を発表」
バラク・オバマ前大統領のケイティ・ヒル報道官は11月28日、オバマ氏が5日間の日程で中国・インド・フランスを訪問することになったと発表した。
訪中の際には、習近平(シー・チンピン)国家主席とも会談する予定で、2016年9月に両首脳(当時)が揃って、気候変動枠組みに関わるパリ協定締結を発表して以来の再会となる。...
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11月28日付米
『CNNニュース』:「オバマ前大統領、習国家主席との会談含めて中印仏3ヵ国訪問を発表」
バラク・オバマ前大統領のケイティ・ヒル報道官は11月28日、オバマ氏が5日間の日程で中国・インド・フランスを訪問することになったと発表した。
訪中の際には、習近平(シー・チンピン)国家主席とも会談する予定で、2016年9月に両首脳(当時)が揃って、気候変動枠組みに関わるパリ協定締結を発表して以来の再会となる。
同報道官は、オバマ氏が大統領職にあった際、習国家主席とは、世界経済から気候変動対策に至るまで、幅広い分野で密接な協力関係を築いたが、この関係継続を期待していると表明した。
なお、訪印に当っては、ナレンドラ・モディ首相とも再会して、旧交を温める意向であるという。
11月29日付英『デイリィ・メール・オンライン』(『AP通信』配信):「オバマ前大統領、アジアとフランス歴訪で国際舞台に再登場」
既に一般市民となっているオバマ前大統領が、中国・インド・フランスを歴訪し、行く先々で講演をする予定である。
これまでの米大統領経験者は、主として基金や大統領図書館などへの支援を訴えて回ることが多いが、オバマ前大統領の場合、トランプ大統領の政策に懐疑的な諸国を訪問して、米国が目指している方向を前任者として詳しく説明する意向とみられる。
オバマ氏はまず11月28日に上海入りし、そこで実業家相手に講演を行い、翌日には習国家主席と会談するために北京に向かう。同主席は数週間前、トランプ大統領を迎えたばかりであるが、オバマ氏は同主席と会い、世界経済、気候変動対策等について改めて協議する意向である。
その後インドに向かい、モディ首相と会談する他、280人程のインドの若者代表向けに講演する予定である。
そして最後にフランスを訪問し、12月2日にパリでも講演する。なお、今年のフランス大統領選で、オバマ氏が支援を表明したエマニュエル・マクロン大統領と会談することも見込まれる。
トランプ大統領は、オバマ氏が中国主席とともに締結に向けて努めたパリ協定ばかりか、欧州主要国と共に成し遂げたイラン核合意についても、離脱を宣言していることから、多くの関係国が困惑している。そこでオバマ氏としては、米国に対する不信感や困惑を払拭するために、米国の現状を説明して回る意向と考えられている。
なお、オバマ氏側近は、今回の歴訪について予めホワイトハウスと協議したかどうかについて明言を避け、ただ、各訪問国の米国大使館には事前連絡済みであるため、ホワイトハウスは情報を得ているはずとのみ言及した。
同日付インド『Zeeニュース』:「友情は続く:オバマ氏が11月30日にモディ首相と会談」
オバマ前大統領は11月30日、今年1月にホワイトハウスを去って以来、初めてモディ首相と再会する予定である。
両首脳は2014年9月から2016年9月の間、8度も会談している。これは、米国の同盟国のフランスや英国と異なり、さほど多くの国際フォーラム等に属していない国としては異例の多さである。一方、オバマ氏も、米国大統領として初めて、インドを二度公式訪問している。すなわち、それだけ今のインドは、米国にとって重要な国の一つとなっていると言える。
なお、オバマ氏は12月1日、インド中の若者の代表約300人を集めて、対話集会を行う予定である。
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