トランプ米大統領は24日、トルコのエルドアン大統領と電話会談を行い、シリア問題について協議した。トルコ政府によると、トランプ大統領は、トルコが敵対するクルド人組織に対する武器の供給を停止すると述べたという。
トランプ大統領は、イスラム教スンニ派過激組織IS掃討後のシリア和平の進め方等について、関係各国と協議を続けている。エルドアン大統領との電話会談では、「シリアで米国のパートナーに提供されている軍事支援を調整する。」と伝えたとホワイトハウスは発表しており、武器供給を停止すると断言したわけではない。両首脳はまた、トルコが米国から武器を購入する件についても話したとしている。
電話会談に同席していたトルコのメブリュト・チャブシオール外相は、トランプ大統領がクルド人への武器供与をやめるよう、軍の幹部や、安全保障担当のマクマスター大統領補佐官に明確な指示を出したとしているので、両国の発表には、ニュアンスの違いがある。...
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トランプ大統領は、イスラム教スンニ派過激組織IS掃討後のシリア和平の進め方等について、関係各国と協議を続けている。エルドアン大統領との電話会談では、「シリアで米国のパートナーに提供されている軍事支援を調整する。」と伝えたとホワイトハウスは発表しており、武器供給を停止すると断言したわけではない。両首脳はまた、トルコが米国から武器を購入する件についても話したとしている。
電話会談に同席していたトルコのメブリュト・チャブシオール外相は、トランプ大統領がクルド人への武器供与をやめるよう、軍の幹部や、安全保障担当のマクマスター大統領補佐官に明確な指示を出したとしているので、両国の発表には、ニュアンスの違いがある。今回の動きをトルコは歓迎している。チャブシオール外相は「もちろん、我々は非常に喜んでいる。」と述べた。
米国はISが首都と位置付けていたラッカ奪還など、IS掃討作戦のために今年の5月、支援する少数民族クルド人の武装組織「人民防衛隊」(YPG)への武器供給を開始した。当時米国防総省は、クルド族は近い将来、ラッカを奪還できる唯一の勢力と考えていた。しかしトルコは、YPGが同国内で30年にわたり反乱を起こしていたテロ組織「クルド労働者党」(PKK)の分派であるとしてこれに反対し、両国の関係は悪化していた。
クルド族は9月に、隣国イラクにおいて、米国がかねてから反対してきた独立を問う住民投票を強行した。イラク政府はその報復として、クルド自治政府が実効支配してきた石油が豊富なキルクーク市とその周辺地域を奪還、制圧している。米国が武器供与を本当に停止すれば、IS掃討作戦で重要な役割を果たし、中東で存在感を高めていたクルド人勢力にとって、これに続く大きな打撃となる。
米国はISとの戦いにおいて、米国主導の有志連合に参加するクルド系とアラブ系の連合勢力「シリア民主軍」(SDF)を通じ、クルド人に武器を供与し、支援してきた。しかしISが敗戦を続け、シリア内の領土のほぼ全てを失うこととなって、掃討作戦の完了が近づき、米軍のクルド人への武器供与等、支援の在り方を見直す可能性が出ていた。
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