【Globali】
フィンランドで昆虫粉末入りのパンが登場
英国・オランダ・ベルギー・オーストリア・デンマークなどでは、グルテンフリー食品(穀物のタンパク質の主成分であるグルテンを除去)の需要や環境保護(家畜より二酸化炭素排出が少ないなど)の観点からニッチな食用昆虫市場が発達してきているという。今月フィンランドの大手食品メーカーが、昆虫食に関する法改正により、コオロギの粉末入りのパンを発売した。来年までに取扱い店舗を拡大する予定だという。
11月23日付
『ロイター通信』は「フィンランドのパン屋がコオロギの粉末入りのパンを発売」との見出しで以下のように報道している。
23日フィンランドのベーカリー兼食品メーカー「Fazer」の店舗で世界で初めて虫入りのパンが販売された。乾燥したコオロギの粉末入り小麦粉とシードを捏ねたパンで、通常の小麦粉で作ったパンよりタンパク質の値が高い。1斤あたり70匹分入り、3.99ユーロ(4.72ドル)ほどの値段で普通の小麦パン(一斤が2~3ユーロ)よりやや割高。...
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11月23日付
『ロイター通信』は「フィンランドのパン屋がコオロギの粉末入りのパンを発売」との見出しで以下のように報道している。
23日フィンランドのベーカリー兼食品メーカー「Fazer」の店舗で世界で初めて虫入りのパンが販売された。乾燥したコオロギの粉末入り小麦粉とシードを捏ねたパンで、通常の小麦粉で作ったパンよりタンパク質の値が高い。1斤あたり70匹分入り、3.99ユーロ(4.72ドル)ほどの値段で普通の小麦パン(一斤が2~3ユーロ)よりやや割高。
Fazer社の開発部長は「よいタンパク源となり昆虫食の初心者には試しやすい」という。新商品を買った人の感想は、「味の違いは分からない、普通のパンの味」だという。
西欧諸国ではタンパク源としての昆虫食に注目が集まっており、フィンランドは今月、英国・オランダ・ベルギー・オーストリア・デンマークに交じって昆虫市場に参画。Fazer社は昨夏から開発を進め、販売開始のための法規手続き完了を待っての販売だった。
コオロギが入手しにくいため、現在はヘルシンキ市内の大型スーパー11店舗でのみ販売となるが、来年までには全47店舗で販売の予定。コオロギ入り小麦はオランダからの輸入品だが、国内サプライヤーも開拓中。
昨年の国連統計によると、世界中で2000万人が昆虫を食料とし、食用の昆虫は1900種以上。西欧諸国では、食用昆虫はニッチ市場。グルテンフリー食品を求める人や家畜に比べ飼育に土地・水・肥料を要しないゆえに環境保護の観点から、人気が高まっている。
同日付英国『テレグラフ』は「フィンランドのベーカリーが“粉末”昆虫パンを発売」との見出しで以下のように報道している。
フィンランドの食品最大手が昆虫パンを発売。Fazer社のパン部門長は、「フィンランド人は新し物好きだ。同社統計ではフィンランド人がパンに求めるものは味と新鮮さが一番」なのだという。また、北欧諸国の最新の統計では、フィンランド人が昆虫にもっとも抵抗が無かったという。味を良くするためサクサク感のある生地を使用し、「美味しく栄養たっぷり」の商品に仕上がったと自負する。
人類は新しい持続可能な栄養源を必要としている。昆虫はタンパク質が豊富で、良質の脂肪酸やカルシウム、鉄分、ビタミンB12も含んでいる。今月フィンランドの法改正の伴い昆虫の食品への使用が可能となった。既にスイスでは9月、スーパーチェーンのCoop社が昆虫入りのバーガーや肉団子を販売開始、ベルギー・英国・デンマーク・オランダではスーパーの棚でも昆虫が売られている。
国連食糧農業機関は、人類の食料としての昆虫食を推奨。健康的でタンパク・ミネラルが豊富、しかも、多くの昆虫種は、家畜の飼育に比べて、広大な土地や耕作費用が掛からず、温室効果ガスやアンモニアも排出しないため環境によいとの理由である。
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