米紙ワシントン・ポスト電子版は9日、国務省のジョセフ・ユン北朝鮮担当特別代表が10月30日に、北朝鮮が核・ミサイル開発実験等の挑発行為を60日間停止すれば、米国は直接対話に応じる考えを示していたと報じた。
ユン特別代表は、米国の政策研究機関「外交問題評議会」で行った非公開の会合で、「北朝鮮が核・ミサイル実験を60日間凍結すれば、米国が平壌との直接対話を再び始めなければいけないシグナルになるだろう。」と述べたとされる。ユン特別代表はコメントを拒否したが、政権関係者が、ユン氏の発言は、ティラーソン国務長官の考えに一致していると話したという。ティラーソン長官は8月に「北朝鮮が対話の用意があることを我々に示す最適のシグナルは、ミサイルの発射を止めることだ。」と記者団に語っていた。
ユン氏の発言が事実であれば、トランプ政権が北朝鮮の核・ミサイル問題の外交的解決に向けた対話を再開するための条件を示したことになる。トランプ大統領も「北朝鮮が交渉のテーブルにつき、北朝鮮国民と世界各国の人々のために良い取引をすることが賢明だ。」と今週の韓国訪問時に述べ、外交的な解決を図り、対話を排除しない姿勢を見せた。
北朝鮮が最後に核・ミサイルの開発実験を行ったのは、北海道上空を通過する弾道ミサイルを発射した9月15日であり、それからまもなく60日となる。しかしワシントン・ポスト紙は、60日のカウントは、北朝鮮側からの停止の事前通告があった時からで、まだ始まっていないとした。但し、専門家の間には、北朝鮮はこれまで基本的に晩秋から冬にかけては実験を行ってこなかったため、60日間の実験凍結は難しいことではなく、既にそのような計画でいるのではないかという意見もある。
しかしながら、60日の凍結だけが平和のために必要なのではなく、それは単なる対話の条件だ。また、対話をしたとしても、両者の対話の目的や方向性は全く逆であり、平和解決が図れる保証はない。北朝鮮は米国に正式に核保有国と認識させたいが、米国は北朝鮮に核兵器を完全に放棄させたいと思っている。
国務省のナウアート報道官は9日の会見で、「今は交渉の時ではない。北朝鮮は真剣な兆候をまだ示していない。」として、米国が対話に応じる条件は、北朝鮮側が非核化に取り組む姿勢を真剣に示すことであると指摘し、報道内容の確認には応じなかった。
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