SNS大手の米ツイッター、フェイスブック両社に対し、ロシア政府系の銀行や企業の多額の資金が、プーチン政権に近い著名な米国在住のロシア人投資家、ユーリ・ミルナー氏のファンドを通じて流れていたことが6日に判明した。
資金の流れは、租税回避地関連資料の「パラダイス文書」に基づく国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の取材で明らかになった。同文書は「パナマ文書」と同様、欧州の有力紙、南ドイツ新聞が入手し、ICIJと各国の一部のメディアと共有しているもので、回避地での法人設立を代行する法律事務所の内部資料等、約1340万通が含まれている。
米国では2016年の大統領選時に、ロシアがSNSへの大量の広告投稿や偽ニュースを通じて世論調査を行ったことが指摘されており、今回明らかになった投資も、SNS大手会社への影響力を行使する目的のものとの疑いも出ており、今後論議を呼びそうだ。...
全部読む
資金の流れは、租税回避地関連資料の「パラダイス文書」に基づく国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)の取材で明らかになった。同文書は「パナマ文書」と同様、欧州の有力紙、南ドイツ新聞が入手し、ICIJと各国の一部のメディアと共有しているもので、回避地での法人設立を代行する法律事務所の内部資料等、約1340万通が含まれている。
米国では2016年の大統領選時に、ロシアがSNSへの大量の広告投稿や偽ニュースを通じて世論調査を行ったことが指摘されており、今回明らかになった投資も、SNS大手会社への影響力を行使する目的のものとの疑いも出ており、今後論議を呼びそうだ。ミルナー氏はトランプ米大統領の娘婿、クシュナー大統領特別顧問の会社にも出資している。
ICIJによれば、ロシア国営のVTB銀行が、密かにミルナー氏のファンド、DSTグローバルに1億9,100万ドル(約217億円)を拠出し、DSTグローバルが2011年にツイッター社の株を大量に購入した。VTB銀行もこの事実を認めている。さらに、ロシア政府系の天然ガス企業ガスプロム(Gazprom)が、傘下のファンド子会社を通じて、租税回避地である英領バージン諸島の企業に1億9,700万ドル(約225億円)を融資し、この企業がDSTの子会社を所有しており、この資金がフェイスブックへの多額の投資に使われたとICIJは6日の声明で報じている。
ミルナー氏他の出資者は、2012-13年のフェイスブック、ツイッター両社の株式公開後まもなく、株を売却して多額の利益を得たとされる。この事実は以前から知られていたが、ロシア政府系の資金が投資に使われていたことは、今回初めて明らかになった。また、ロシアが2016年の米大統領選の数年前から、米SNS大手への投資に関心があったことも判明した。
ツイッター、フェイスブック両社は、ミルナー氏の投資については、適切に調査を行ったとしている。ICIJからの質問に答え、ミルナー氏は、自らの会社が行った投資は、ツイッターやフェイスブックに対するものも含め、ビジネス上の利益に基づくものであり、政治とは無関係であることを強調した。
閉じる