トランプ米大統領は1日、8人が死亡し、11人が負傷したニューヨークの車突入テロ事件のウズベキスタン人容疑者が、米国への移住希望者に対し、抽選で永住権を与える「移民多様化ビザ抽選プログラム」を利用して米国に移住していたことを受けて、同制度を終了させる方針を明らかにした。
同制度は移民の出身国を多様化するため、米国への移民が少ない国の出身者に抽選で永住権(グリーンカード)を割り当てるもので、1990年代に本格導入されたものである。年間5万人以上にビザを発給しており、申請者は高卒以上か、要求水準を満たす就業経験を必要とする。当選者ばかりでなく、いわゆる連鎖移住として、当選者の親族にも永住権を与えているのが特徴だ。
国家安全保障省によれば、実行犯として特定されたサイフロ・サイポフ容疑者は、ウズベキスタンからの移民で、米国に2010年に合法的に移住したという。...
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同制度は移民の出身国を多様化するため、米国への移民が少ない国の出身者に抽選で永住権(グリーンカード)を割り当てるもので、1990年代に本格導入されたものである。年間5万人以上にビザを発給しており、申請者は高卒以上か、要求水準を満たす就業経験を必要とする。当選者ばかりでなく、いわゆる連鎖移住として、当選者の親族にも永住権を与えているのが特徴だ。
国家安全保障省によれば、実行犯として特定されたサイフロ・サイポフ容疑者は、ウズベキスタンからの移民で、米国に2010年に合法的に移住したという。トランプ大統領は、サイポフ容疑者を公然と「動物」と非難したが、同容疑者が23人を米国に連れてきたとして、その親族も米国にとって脅威となる可能性があると述べた。ウズベキスタンは、大統領令で命じた入国禁止令の対象国にはなっていない。
トランプ大統領は、1日にツイッターで事件について触れ、容疑者が「移民多様化ビザ抽選プログラム」で米国にやってきたとして、この制度を推進したニューヨーク州選出のチャック・シューマー民主党上院内総務を厳しく批判した。
民主党による抽選制度より、持っている技能等、実力本位による厳格な移民対策を講じていくべきであると大統領は述べた。そして1日に行われた閣僚との会議に先立ち、「国民を守るために、正しいことをしなくてはならない」として、議会に対して「即座に」この抽選制度を廃止するよう求めると記者団に語った。
シューマー民主党上院内総務は、トランプ大統領の批判にすかさず反論し、「移民は米国のためになると常に信じてきたし、これからも信じ続ける。」と述べた。そしてトランプ大統領の対応を2001年のニューヨーク同時多発テロ後のブッシュ(子)大統領のそれと比較し、悲劇的な事件を「政治化」していると非難した上、トランプ大統領がテロ対策のための予算の削減を提案していることについても強く批判した。
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