アメリカでは医療用鎮痛剤であるオピオイドの過剰摂取による死亡事故が1日平均150人となっており、トランプ氏が対応を強化しようとしていた。米疾病予防管理センター(CDC)によると2015年には3万3000人以上がオピオイドの乱用により亡くなっており、死亡者が増え続けている。
オピオイドはケシから採取されるアルカノイドなどからなる化合物の総称で鎮痛作用の他、麻薬と同じように中毒症状も引き起こす。...
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アメリカでは医療用鎮痛剤であるオピオイドの過剰摂取による死亡事故が1日平均150人となっており、トランプ氏が対応を強化しようとしていた。米疾病予防管理センター(CDC)によると2015年には3万3000人以上がオピオイドの乱用により亡くなっており、死亡者が増え続けている。
オピオイドはケシから採取されるアルカノイドなどからなる化合物の総称で鎮痛作用の他、麻薬と同じように中毒症状も引き起こす。トランプ氏はオピオイドを生産している企業に対し大きな訴訟が起こる可能性を示唆しており、さらに11月の中国訪問の際には中国内で生産されている合成オピオイド「フェンタニル」の問題について習近平総書記と協議すると述べた。
トランプ氏は1月の就任以降「パーコセット」「オキシコンチン」「ヘロイン」「フェンタニル」などの種類のオピオイド乱用問題に取り組むため、「国家非常事態宣言」を出す方針を打ち出していた。国家非常事態宣言が出されれば、国から予算が下りる。しかし今年はすでにハリケーン被害などで連邦緊急事態管理庁の予算が無くなってしまったこともあり、今回は「公衆衛生上の非常事態宣言」という形にとどまった。政府高官はこの形でも連邦資源を再配分したり、規制緩和を実施したりすることで十分対応できるとした。
こうした対応に民主党議員からは追加の予算が出ない今回の宣言は意味がないと批判が出ている。また専門家なども対策へ踏み込みが足りないなどと指摘している。
今回の非常事態宣言で今後オピオイド対策の取り組みに対する連邦資金が増額されることはない。複数の政府関係者は、政府として議会へ関連予算の増額を訴えていく予定だと述べている。
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