2017年9月に行われた選挙結果(総議席数120)は、前回と同じく第1党は国民党(56議席)、第2党は労働党(46議席)の順となったが、どちらも議会の過半数に届かなかったため、選挙後、両党は第3党のニュージーランド・ファースト党(9議席)との連立を模索をしていた。
10月19日、ポピュリスト政党であるニュージーランド・ファースト党のピータース党首が、野党である労働党と連立を組むことを発表した。...
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2017年9月に行われた選挙結果(総議席数120)は、前回と同じく第1党は国民党(56議席)、第2党は労働党(46議席)の順となったが、どちらも議会の過半数に届かなかったため、選挙後、両党は第3党のニュージーランド・ファースト党(9議席)との連立を模索をしていた。
10月19日、ポピュリスト政党であるニュージーランド・ファースト党のピータース党首が、野党である労働党と連立を組むことを発表した。
また、第4党の緑の党(8議席)は、連立政権には加わらないものの、政策協力に合意した。
これにより、9年ぶりに野党が政権を奪還し、3期に亘り続いてきた中道右派の国民党政権は終わりを告げることになった。
今回、アーダン氏は、若さと清新なイメージを全面に出し、労働党党首に就任してから、党内に新たなビジョンとエネルギーをもたらし、今回の連立交渉でも、各党との分断でなく統合を成し遂げた。
特筆すべきは、労働党とニュージーランド・ファースト党は、移民の増加が原因で、住宅価格の高騰がもたらされ、一般的な国民が住宅を購入できないことから、移民の数を削減する点で政策が一致していることである。
事実、ニュージーランドへの移民の純流入数は、2017年9月までの1年間で7万1千人と過去最高の移民の流入数(7万2400人)とほぼ同じ人数に並んでいる。
また、労働党は、米国抜きでのTPPの合意内容の見直しを示唆しており、ニュージーランド・ファースト党は、ISDS条項(投資家が、投資先の国家の政策によって被害を受けた場合、その国家を第3者である仲裁裁判所に訴えることができるというもの)に反対する立場を取っている。
今後、日本が推し進めようとしている11カ国TPPの交渉に、悪影響を及ぼすことはほぼ間違いないものと考えられる。
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