米ハワイ州の連邦裁判所は17日、トランプ大統領の3度目の入国禁止令について、以前の禁止令と同じ問題があるとして、施行の差し止めを命じる決定を下した。同禁止令は18日から全面的に有効となる予定であったが、その数時間前のことだった。
問題になっている入国禁止令は9月に発表され、チャド、イラン、リビア、北朝鮮、ソマリア、シリア、イエメンからの入国を禁じるもので、一部のベネズエラの政府当局者や家族も対象としている。トランプ政権は、同禁止令は各国の安全状況や米国と情報を共有しようとする意思を評価した結果に基づくとしていたが、ハワイ州はトランプ大統領が米国からイスラム教徒を締め出そうとしているとして、その差し止めを請求していた。
ハワイ州連邦地裁のデリック・ワトソン判事は17日、州の差し止め請求を認め、最新の入国禁止令も以前のものと同様、「特定6カ国からの1億5,000万人の国民の入国が、米国の利益に害をもたらすことを示す十分な証拠を欠いている。...
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問題になっている入国禁止令は9月に発表され、チャド、イラン、リビア、北朝鮮、ソマリア、シリア、イエメンからの入国を禁じるもので、一部のベネズエラの政府当局者や家族も対象としている。トランプ政権は、同禁止令は各国の安全状況や米国と情報を共有しようとする意思を評価した結果に基づくとしていたが、ハワイ州はトランプ大統領が米国からイスラム教徒を締め出そうとしているとして、その差し止めを請求していた。
ハワイ州連邦地裁のデリック・ワトソン判事は17日、州の差し止め請求を認め、最新の入国禁止令も以前のものと同様、「特定6カ国からの1億5,000万人の国民の入国が、米国の利益に害をもたらすことを示す十分な証拠を欠いている。」と指摘した。ワトソン判事は、オバマ前政権時代に任命された裁判官であるが、最新の禁止令は、以前のものに対する連邦控訴裁の判断を無視しており、「第9区巡回裁判所がこの国の建国の原則に反すると(以前の禁止令について)判断したように、国籍に基づき明確な差別を行っている。」との判断を示した。
判事はさらに、ある国や訪問者が禁止令に含まれたり除外されたりする根拠に一貫性がないとも指摘した。例えば、イラクはセキュリティ基準に満たないが、禁止令の対象から除外されており、ソマリアは情報共有の基準を満たすが、含まれている。またリビアの全ての旅行者やビジネス客は入国を認めないが、学生の訪問者は受け入れるとしている。
今回の決定は、イスラム教徒が国民の多くを占める6カ国にのみ適用される。北朝鮮やベネズエラについては、ハワイ州が判断を求めていなかったため、影響はない。これで入国禁止令は3種とも、その全てか一部が裁判所によって差し止められたことになるが、他の多くの州によって別の裁判所でも争われており、今後の成り行きが注目される。
ホワイトハウスのサンダース報道官は今回の決定について、「危険なほどに欠陥のある」判断であるとして、「大統領が米国民の安全を保ち、米国への入国のための最低限の安全基準を施行する努力をないがしろにするものである。」と批判した。米司法省も急ぎ上訴する意向を示している。
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