トランプ米大統領は12日、オバマ前政権の医療保険改革(オバマケア)で義務付けられた条件を満たさない、安価で給付対象を絞った保険に加入することを認める大統領令に署名した。共和党によるオバマケアの見直し法案の策定が失敗したため、大統領の権限を使い、自力でオバマケアを実質骨抜きとすることを狙ったと見られている。
トランプ大統領の大統領令は、州の壁を越えて中小企業主がまとまり、従業員のために安価で規制の緩やかな、給付内容の簡素化された健康保険を共同で購入することを可能とするものである。安価な健康保険に加入しやすくすることが目的であるので、出産や処方箋医薬、メンタルヘルス、依存症治療などの関連の費用は、給付の対象としていない。オバマケアは殆どの中小企業や個人の健康保険プランにそのような給付を求めていた。
共和党は、2,000万人に健康保険を拡大するオバマケアは、保険制度に対する政府による介入と批判しており、7年間にわたり廃止すると約束してきたが、党内の対立や民主党の反対により難航している。...
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トランプ大統領の大統領令は、州の壁を越えて中小企業主がまとまり、従業員のために安価で規制の緩やかな、給付内容の簡素化された健康保険を共同で購入することを可能とするものである。安価な健康保険に加入しやすくすることが目的であるので、出産や処方箋医薬、メンタルヘルス、依存症治療などの関連の費用は、給付の対象としていない。オバマケアは殆どの中小企業や個人の健康保険プランにそのような給付を求めていた。
共和党は、2,000万人に健康保険を拡大するオバマケアは、保険制度に対する政府による介入と批判しており、7年間にわたり廃止すると約束してきたが、党内の対立や民主党の反対により難航している。
今回そうした状況下で署名された大統領令は、すぐにオバマケアを変更するものではなく、連邦の法制整備を待つ必要がある。民主党のチャック・シューマー上院院内総務は早速大統領令を強く批判しており、また各州の民主党の司法長官も、もしトランプ大統領がオバマケアを廃止しようとすれば、訴訟で争うとしているので、大統領の意図どおりに事態が進むかどうかは微妙である。また制度が改正されるとオバマケアの健康保険から健康な加入者が離れ、健康状態の悪い加入者が残って保険料が大幅に上がるとの懸念もある。
しかしながら今回の大統領令は、トランプ大統領が1月に就任以来、公約としてきたオバマケアの廃止のために取った最も具体的な最初の措置だ。トランプ大統領は、「これで競争が高まり、選択肢が増え、安価で質の高い健康保険がさらに入手可能となるだろう。」と述べ、議会に対してオバマケア改革法案の早期可決を迫った。
米国メディアは12日、トランプ大統領がオバマケアの下で低所得者層の個人の健康保険を提供している保険者への補助金を打ち切る予定であると報じた。2017年にはその支払いは70億ドルとも見積もられており、補助金がなくなれば、オバマケアの個人保険に加入している多くの顧客の保険料は、2018年には20%高くなると試算されている。
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