トランプ大統領は、オバマ前大統領の策定したDACA (Deferred Action for Childhood Arrivals)について、選挙キャンペン中から「若者の不法移民を国外追放から保護するのは違法だ」と主張し続けていたが、「私もアメリカの若者は好きだ」と述べ、DACAを支持する意図を示唆した。
トランプ大統領は就任後もDACAの廃止を主張していたものの、8ヶ月たっても何も方針を示さず、移民強硬派のジェフ・セッションズ司法長官に一任していた。セッションズ司法長官はまさにトランプ大統領のスポークスマンのごとくDACAには反対し続けていて、「オバマ政権は立法府の反対を押しのけてDACAを法律化した」として批判している。また、セッションズ氏はDACAについて「不法移民によってアメリカ人の雇用は奪われ、犯罪やテロが増えた。」とネガティブキャンペーンを繰り返してきたが、実際のDACAは犯罪歴のない若者のみを保護対象にしていて厳重管理されているので、極端な虚言をしていることになる。
現状DACAによってアメリカ全国で80万人もの若者が処罰から免れることができ、多大なる恩恵を受けている。たとえ、両親が法律違反をして不法移住したとしても、その子供には何の罪もない。多くのアメリカ人はDACAに賛成しているが、右翼の政治家はそのような実際の社会問題や政治の背景を無視して法律の条文のみを取り上げて「違法だ」と叫んでいる。
また、アメリカを夢見て移住する若者をドリーマーと名づけるなら、Appleのティム・クック氏や、FACEBOOKのマーク・ザッカーバーグ氏をはじめ、HPやGM、Amazonなど颯爽たる大企業の代表者らが、「彼らドリーマーが国外追放されれば、アメリカのGDPは4600億ドルもの損失を被る」と書簡に書いて訴えているという。
ホワイトハウス内でもDACAの擁護派が増えていて、上院でBRIDGE ACTと呼ばれる法案が可決され、アメリカの不法移民の若者は3年間アメリカに居住可能との猶予期間が与えられた。
しかし、現在トランプ大統領がDACAの取消案を国会に提出していて、6ヶ月以内に国会はどうすべきか解決案を出さなければならない。しかし、支持率が日に日に低迷しているトランプ大統領は、DACAからはもはや手を洗っていて、本案件の未来は国会に託しているともみられる。また連邦政府の負債の上限についての決議についても、トランプ大統領はもはや民主党と手を組み始めていることを考えると、今後、無党派の議員が勢いを増していく可能性もある。そうなればDACAについては、もはやトランプ政権の一存では決められなくなってくる可能性も出てくる。
閉じる